【ズームアップ甲子園】第95回記念選抜高校野球大会で起きた〝ペッパーミル騒動〟が波紋を広げている。第1日(18日)第1試合で東北(宮城)の選手が敵失で出塁した際にWBCで侍ジャパンが披露する〝ペッパーミル〟パフォーマンスを行い、物議を醸した。「相手に失礼」「厳しすぎだ」と賛否が分かれる中、第2日の19日は監督が選手に注意を促す学校が見られ、大会関係者からは「相手への敬意は絶対に変えてはいけない大会の伝統だ」と厳しい声も聞かれた。騒動の余波を追うと…。

 遊撃手のエラーで東北・金子和志内野手(3年)が出塁し、ベンチに向かってペッパーミル・パフォーマンスを披露すると、背後にいた塁審がすぐに注意。一塁ベンチの佐藤洋監督(60)に駆け寄って「しないように」とクギを刺した。「明るく楽しく」を信条とする佐藤監督が、試合後に「子供たちは楽しんでやっているのになぜ大人が止めるのか」などと高野連に〝反論〟し、大きな騒動となったが…。当日は第3試合の大垣日大のベンチでもペッパーミルで盛り上がる様子が見られた。

 その後、高野連が「不要なパフォーマンスやジェスチャーは従来より慎むようにお願いしてきた。野球を楽しみたい気持ちは理解できるがプレーで楽しんでほしい」と異例のコメントを発表する事態にまで発展。一夜明けても騒動の影響は少なくなかった。

 複数の出場校は監督が選手に対してあらためて注意をしたという。ある選手は「昨日の夜と今日の朝にミーティングがあって、ああいうことはやめようと監督から言われました。僕たちは日ごろからやってませんでしたけど、あらためてやらないように確認しました」と明かし、他にも「エラーの場面でやったのでどうかな、と思います。冷静になって考えないといけない」「ニュースで見たけど、ウチはパフォーマンスはやってないので、その話は出ていない」との声も聞かれた。

 その一方では「その時の気持ちが高まっているし、しょうがないかな、と思います」「うれしすぎて舞い上がる。得点が入るとテンションが上がって楽しんでしまう」と理解を示す声も。19日にはポーズを広めた張本人のヌートバーまで「広まって大きなウエーブになっていることはとても面白いね」とコメント。WBCで日本中が盛り上がっている最中ということもあり「いいじゃないか」という意見もあるようだが…。

 そんな中、大会関係者からは「相手エラーで出塁した際ということが問題。調子に乗ってやってしまったんでしょうけど、ヒットなら注意されていなかったかもしれないし、ここまで問題にはなっていなかったでしょう」と、状況しだいでは見過ごされていた可能性を指摘する声が出た。

 さらに同関係者は「高校野球は教育の一環であり、相手への敬意、スポーツマンシップは一番大切な伝統。監督会議で毎回伝えていることなのに…。佐藤監督も分かっていたはず。楽しくやろうとされているのは分かりますが、相手のミスでやってはいけません。ヌートバーだってその状況(相手失策)ではやらないはず」と残念がった。

 それまで暗黙の了解で大目に見てもらえていたものが、ちょっとやりすぎてしまったことで、ルールの適用を厳しくせざるを得なくなる…というのはありがちな話。ここまで大きな問題となってしまった以上、今後はヒットの場面でも、反響を恐れ、ペッパーミルを披露する学校はないだろう。WBCが盛り上がる一方で甲子園球児には〝制約〟が増えてしまったかもしれない。