フィギュアスケート男子で五輪2連覇を果たし、プロに転向した羽生結弦(28)が座長を務めるアイスショー「羽生結弦 notte stellata」(宮城・セキスイハイムスーパーアリーナ)は、10~12日の3日間にわたって開催された。東日本大震災から12年がたったタイミングでの公演に、五輪2大会出場でプロフィギュアスケーターの鈴木明子氏(37)も出演。共演者として感じた〝羽生結弦〟を明かした。

 羽生の背中から出演者に思いは伝わっていた。鈴木氏は「リハーサルの段階からみんなでサポートし合いながらいいものをつくるという空気がすごくよかった」。出演者に向けて、羽生が自身の胸の内を話したわけではない。自然と全員の気持ちが一つになった。

 プロ転向後、地元・宮城で行う最初の公演。会場は震災時に遺体安置所として使用された過去を持つ。鈴木氏は「もともと覚悟がいることだったと思うし(11日の公演時に)今回の公演を(遺体安置所だった)あの場所で開催するかどうか葛藤があったと言っていたが、それでも今ここで伝えたい思いがあるという羽生くんの思いを、一人ひとりが、くみ取ろうとしていた」。出演者全員が氷上から〝希望〟を届けたいとの思いで全てを出し尽くした。

 11日の公演は、東日本大震災からちょうど12年。やはり特別な様子だったという。「3日間通して『ともに前へ』とのコンセプトでやってきたが、3・11はちょっと違った。すごくたくさんのことを背負っていると感じた。苦しみや悲しみなどがヒシヒシと、羽生くんの背中から伝わってきた。私からすると、そんなにもう背負わなくていいよって思うぐらい。いろんなものを背負っているように見えた」。11日の公演後、宿舎で会った際には「本当に出し切った感じだった。疲れというか、本当に全てをささげたように感じた」と明かした。

〝羽生結弦〟として周囲の期待に応え、復興の象徴となってきた。12日の公演後には「精いっぱい自分の幸せを削ってでも、ずっとずっと羽生結弦として全て背負って進んでいく」と決意。しかし鈴木氏は「羽生結弦自身の幸せも願っている。誰にでも幸せになる権利がある。羽生結弦だから、みなさんに幸せを与えなきゃいけないわけでもないし、与え続けなきゃいけないわけではない。羽生くん自身が幸せだったら、羽生くんの演技を見るみなさんも幸せを感じてくれると思う」と願った。

 続けて「もちろん震災のことを忘れてはいけないが、羽生くんが気持ちを一つに前に進んでいる姿が見られたなと思った。前に進むんだという決意を私は感じた」。今後も羽生は華麗な演技を披露し続ける。