空前絶後の大フィーバーだ。フィギュアスケート男子で五輪2連覇を果たし、プロに転向した羽生結弦(28)が、26日にスケーター史上初となる東京ドームでの単独アイスショー「GIFT」を開催した。迫力満点の「火の鳥」を皮切りに、約3時間で「序奏とロンド・カプリチオーソ」「SEIMEI」など全12曲を披露。会場に詰め掛けた3万5000人の観客を魅了した。その羽生は、リンク外でも存在感は別格。取材で明らかになった〝ケタ違い〟の影響力とは――。

 スケーター史上初となる東京ドームでの単独公演。羽生がリンクに舞い降りると、会場の雰囲気が一変し、拍手と大歓声に包まれた。自身の苦しみ、葛藤、喜びをスケートで余すことなく表現。「みなさんの中でほんの一つのピースでもいいので、記憶に残ってくださったらうれしいなと思います」と振り返った。

 昨年12月に東京ドームでの公演を発表後、一部からは「本当に満員になるのか」との声もあったが、チケットは完売。ディズニー公式動画配信サービス「ディズニープラス」での国内独占ライブ配信や、海外でのグローバルライブ配信(中国本土、北朝鮮を除く)なども行われ、改めて世界規模での人気の高さを証明した。

 なぜ羽生は、次々と規格外のプランを実現できるのか。イベント関係者は「羽生選手は企業や広告代理店から本当に人気が高いです。必ずと言っていいほど、我々の想定する数値を上回ってくれるので」と分析する。

 複数のフィギュア関係者は、プロ転向発表直後の昨年7月に記念グッズ「9歳の僕と王様のジャンプ」(ポスターやタオルなどのセット)を販売した際に「予約開始から1週間ほどで売り上げが1億円を超えていた」と証言。その勢いは今も衰え知らずだという。

 羽生が監修した「GIFT」の公式グッズも、事前販売の段階で売り上げが数億円に到達。数々のアーティストのイベントに携わってきた関係者は「東京ドームでイベントをするのは、ほとんど国民的なアーティストだが、こんなことはめったにない」と驚きを隠さない。

 圧倒的な影響力は、海外にも及んでいる。地元・宮城の関係者は「新型コロナウイルス禍の規制が緩くなったこともあり、中国人の羽生選手ファンを見かける機会が増加している。聖地巡礼ですかね」。仙台市内にある羽生のモニュメントや練習拠点、ゆかりの神社などに中国からの熱心なファンが続々と足を運んでいるという。

 さらに、ある広告代理店関係者は「グローバルで発信力があるので、中国の大手企業も羽生選手を契約を結びたいと考えており、いろいろ調整しているみたいです」と明かした。羽生に関心を示している中国企業の中には、年間の売上高が何と日本円で1兆円規模の超巨大企業も含まれているという。

 唯一無二の世界観の中で全てを出し切った羽生は「幸せな経験をさせていただいたので、ちょっとでもこの幸せな経験から自分から発せられた思いだとか、そういったものが未来が見えない今の世の中に対して少しでも力になればいいなと思います」と充実感をにじませた。これからも恩返しの思いを胸に、次なる物語を描いていく。