いよいよ「鬼モード」へ――。3年ぶりのリーグ優勝を目指す巨人・原辰徳監督(64)に再び勝負師の顔が蘇った。2日の沖縄キャンプでは珍しく紅白戦後に出場選手を集めて訓示。〝勝負のアヤ〟を直接伝えたわけだが、指揮官の闘志はすでに着火済みだった。アダム・ウォーカー外野手(31)ら4選手を二軍送りにした背景にはチームへの喝が込められていた。

 紅白戦を終えた後、原監督がマウンド付近にナインを呼び寄せて珍しく熱弁を振るった。内容はこうだ。試合は中田の豪快ソロで白組が3―2で勝利したが、伝えたかったのは敗れた紅組が一時2―2の同点に追いついた5回の攻撃。一死一、三塁の場面で一走のオコエが初球で二盗を決めて二、三塁と好機を広げた。

 このワンプレーによって攻撃側の打者は併殺打の可能性が低くなり、守備側は一打同点の重圧をかけられた。結果は岸田が右越えへ2点適時二塁打。原監督は「勝負、接戦に持ち込めた分岐。何が相手にプレッシャーをかけたのか。オコエの走塁にめちゃくちゃ価値がある。単なるワンスチールではないことを、みんなで知っておく必要がある」と周知した。

 背水の陣で臨む今季。ドラフト1位・浅野翔吾外野手(18=高松商)をクジで引き当てて以降、人が変わったようにゴキゲンだったが、すでに一切の甘えも許さない鬼の一面をのぞかせ始めていた。

 それが5日のキャンプ打ち上げを目前に断行した二軍降格劇。2月28日を最後に今季から推定年俸1億円の2年契約を結んだウォーカーやドラ2ルーキー・萩尾、ホープの秋広と野手唯一の育成選手・鈴木の4人を帰京させた。実戦で結果を残せなかったことや、野手4人の追加で23人となった人数的な兼ね合いもあったが、別の狙いもあったという。

「昨季、あれだけ活躍したウォーカーまで落とすとは…」と明かしたチームスタッフは「チームの引き締めです。首脳陣の中にも『確かにオープン戦で3連勝して、チームに緩んだ雰囲気もあった。でも、このタイミングで二軍に行かせるとは思わなかった』と話すコーチもいました。でも、そういう空気も察してチーム全体を正すのが原監督。やはり原監督は原監督です」

 4選手の降格に際し「実力至上主義、チームの和を保つためには当たり前の選択」と毅然と語っていた熟練指揮官。退路を断たれた勝負の鬼のボルテージはますます上がっていきそうだ。