侍ジャパンの火事場を救うのは〝万能侍〟かもしれない。NPBは米大リーグ・カブスの鈴木誠也外野手(28)が第5回WBCへの出場を辞退すると28日に発表した。攻守の要だけでなく、右の大砲まで失った栗山英樹監督(61)にとっては大誤算。現場各所では世界一奪還を悲観する声が上がる一方で、左翼守備もこなせる岡本和真内野手(26=巨人)の存在が、改めて大きな注目を集めている。
3大会ぶりのWBC制覇へ、この上ない悲報が舞い込んだ。鈴木がカブスのキャンプ中に左脇腹の張りを訴え、MRI検査を受けた結果も踏まえてチームドクターやトレーナーらと話し合った結果、WBC出場をあきらめ、治療に専念する苦渋の決断が下された。
当然、侍ジャパンの戦力ダウンは否めない。鈴木は金メダルを獲得した東京五輪で4番打者も務め、国際大会での経験も豊富な打線の核。しかも、今回のWBCのメンバー構成では〝令和初の3冠王〟村上(ヤクルト)をはじめ、大谷(エンゼルス)、吉田(レッドソックス)など左打者がズラリと並んでいる。
さらに、外野手として選出されたのは近藤(ソフトバンク)、周東(ソフトバンク)、ヌートバー(カージナルス)と吉田の4人しかいない。外野手不足だけでなく、手薄な「右の大砲」まで失う事態は編成面でも痛恨の極み。さっそく球界関係者の間では「誠也が抜けるのはヤバい。代えがきかない選手だし、代わりに誰が選ばれても戦力がダウンするのは間違いない」などと悲観的な声が続出している。
1次ラウンド初戦は3月9日の中国戦(東京ドーム)。代替選手の選定も急がれるが、この窮地で評価が急上昇しているのが巨人の主砲・岡本和だ。
「代表に選ばれた時は三塁が村上で一塁が山川。岡本の出番はあるかなあ…と思っていたけど、昨年の秋から自主的に一塁の練習も取り組んでいたし、何といっても(高橋)由伸監督の時に左翼を守っていたことが今になって改めて生きてきた。本人も違和感なく外野をやっているみたいだし、右打者で長打を打てる左翼手として大きな戦力になる」(セ球団関係者)
高卒ドラ1で巨人に入団した当初は将来的な「4番・三塁」として期待されたが、村田(現ロッテ打撃コーチ)やマギーの加入もあって岡本和のポジションは〝たらい回し〟だった。レギュラー奪取や出場機会を増やすためにも、首脳陣の判断で一塁や左翼に回った。しかし、ユーティリティー化させた当時の決断が、巡り巡って現在の侍ジャパンの大ピンチを救うことになるかもしれない。
強化試合では、2打席連続の満塁の好機でいずれも適時打を放つなど好調を維持。岡本和の左翼での起用について、侍ジャパンの清水外野守備走塁コーチは「基本は考えてないが、そういうこともできるということでは強みになったのかなという気はする」と話していたが…。
鈴木の代表辞退で大きなピースが欠けた侍ジャパン。だが、右の大砲で外野も守れる岡本和の存在が、世界一奪還の救世主となる可能性を十分に秘めている。












