【楊枝秀基のワッショイ!スポーツ見聞録】独特のオーラを醸し出す。近寄りがたいわけではない。ただ、空気が引き締まることは確かだ。

 楽天から中日にトレードで移籍した涌井秀章投手(36)がチームに締まった空気を吹き込んでいる。北谷キャンプ初日から第3クール2日目の15日(気温が低かったため)を除き毎日、ブルペン投球を行う精勤ぶり。「実戦に入るまでは全部真っすぐ」という西武時代から信念を貫いている。

 涌井の行動は確実に若手から中堅まで投手陣に刺激を与えている。そして、これはチームが求めていたことでもあるはずだ。実際、涌井に質問を試みる投手も増えてきているという。

 取材を行った16日は11年目の福谷浩司投手(32)が「なぜ、ブルペンですべて直球なのか」と質問。それに対しての涌井の意図はこうだ。

「変化球はいわば『休憩』みたいなもの。体への負担が違う。真っすぐを投げるのが体に最も負担がかかりますからね」。何もブルペンで変化球を投じることを否定しているわけではない。キャンプの時期に体に最も負荷がかかる直球をしっかり投げ込み、フォーム固めを行うことが目的というわけだ。

 変化球に関する持論も理にかなっている。「打者に対していない状態で、自分目線で投げた変化球がどれだけ曲がっていても参考にはならない。曲がりが小さくても実戦で投げてみて、打者のリアクションを見て初めて分かることがある」。現役2位、154勝を挙げた右腕だけに説得力が違う。

 中日では歴代エース番号とされる背番号20を用意された。期待の高さはもちろん理解している。「勝敗の結果はもちろん、それ以外のことも求められているでしょう」。前年最下位で〝血の入れ替え〟を断行した立浪竜を上昇させる原動力となるのか。

 プロ野球史上初の4球団での最多勝(過去に西武、ロッテ、楽天で記録)も視野に入れるベテランが着々と準備を整えている。