3大会ぶりのWBC優勝を目指す侍ジャパンが17日、宮崎で強化合宿をスタートした。各球団から集まった精鋭たちが精力的に汗を流す中、別格の存在感を見せたのが、米メジャー組で唯一合宿に参加しているダルビッシュ有投手(36)だ。練習開始前から終了後まで多くの投手に声がけしたり、アドバイスを送るなどチームを鼓舞。その姿はまさに「現場監督」で、周囲からは早くも戦力面以上にその手腕を期待する声が高まり始めている。
14年ぶりのWBC制覇に向け、ついに始動した侍ジャパン。今回の合宿には大谷翔平(28=エンゼルス)ら大半のメジャー所属選手は、契約の関係上参加していない。そのため本大会での結束力を不安視する声もあるが、そんな懸念を払拭してくれそうなのがダルビッシュだ。合宿初日からチームの結束力を高めるべく、精力的に国内組選手とのコミュニケーションに力を入れた。
36歳のベテラン右腕は午前9時過ぎに他選手らとともにバスで球場入りすると、午前10時過ぎに始まった全体ウォーミングから他選手への「声掛け」を開始。エース格である山本由伸(24=オリックス)との談笑を中心に、およそ15分の間に10人以上との「対話」を試みた。その後、自身の調整とキャッチボール後には次代を担う佐々木朗希(21=ロッテ)と宮城大弥(21=オリックス)を引き連れて室内練習場の木の花ドームに移動。ここで2人の緊張を解き放つかのように、座りながら変化球談議に花を咲かせるなど、チームリーダーとして若手選手に歩み寄る姿勢を見せた。
このベテランの積極的な行動には、周囲も感嘆するばかり。日本ハム出身でダルビッシュを入団時から知る厚沢ブルペンコーチは「〝ダルビッシュ先生〟ですからね。自分以外のこともしっかり見てくれている」と目を細め、球界OBも「ダルビッシュ自身が合宿初日に率先して若手に声をかけ、話し合いの場を持つ。その行為、行動こそが若手の心を開き、ひいてはチームの結束につながる。この行動力がチームに与える影響は大きい」と感心しきりだった。
チームの主将を決めない意向の栗山監督も「昨日、今日とゆっくりいろいろと話したが、本当に感謝しかない」と満面の笑み。「若い人たちといろんな話をしてくれながら、自分も学び、いろんなものを与えてくれる。他の選手に話を聞くと、すごく喜んでいる。選手の表情を見ると良かったなと思う」と賛辞を並べた。
合宿初日に早くも首脳陣や投手陣を中心にナインの心をつかんだ感のあるダルビッシュ。この調子なら主将がいない分、今後も現場監督的な役割を担うことになりそうだが、本人は「今のところ結構(若手に)警戒されていると思うので」と苦笑しつつも「まだあまり話せてない選手もいるんですけど、割といろいろ(声をかけると)聞いてくれる。全然、自分は大丈夫なので。ドンドン来てほしいです」と望むところのようだ。
ダルビッシュは「キャリアは関係ない。ずっと成長する姿勢は崩してはいけない。特に自分は米国生活も長いので、年功序列とかは全くない」とも言い〝来るもの拒まず〟が基本スタンスだ。その「神行動」でチームの結束力が高まっていくようなら、3大会ぶりの優勝に向けて視界は良好だろう。











