パラリンピックで通算4個の金メダルを手にした車いすテニスの国枝慎吾さん(38)が妻・愛さんに感謝の思いを伝えた。

 先月22日に現役引退を表明した国枝さんは、7日に都内で引退会見を行った。「最後に残されたウィンブルドンのタイトルを獲得することが決まった瞬間、チームの方と抱き合っていたときに、最初に出た言葉が『これで引退だな』と。それが芝生のコートで最初に出た言葉で、その後『十分にやり切ったな』というのが、ふとした瞬間に、口癖のように出るようになった」と神妙に振り返った。

 4大大会全制覇とパラリンピック金メダルを合わせた生涯ゴールデンスラムを達成するなど、車いすテニス界の第一人者として活躍。政府は国民栄誉賞を検討している。国枝さんは「先週の金曜日(3日)に、検討していますと連絡があった。連絡を受けたときには、車いすテニスは評価されたなと。やってきたことが最大限評価され、光栄に感じた」と感慨深げに語った。

 常に世界の第一線で戦い、レジェンドにふさわしい活躍を見せてきた。しかし、常に強気でいられたワケではない。「メディアの前では強気な発言『金メダルを取ります』とか言わなきゃいけない感じがあった。どんなに傷を負っていても、そこで弱音を言ってしまうとプレーにも出てしまうと思って、なかなか弱音は言えなかった」と、弱気の虫に悩まされたこともあったという。

 そんなとき、支えとなったのが愛さんだった。

「家に帰って『もう無理だな』『もう試合に間に合わない』『もう引退だな』とか、そういうのを吐き出せる場所があったのは競技の助けになった。テニス選手は世界中を回っていて孤独だが、妻がいてくれるだけで、ホテルに帰れば家のようなアットホームな空気が流れる。それだけでも、オンとオフを切り替えられるのはすごく助けになった」と胸の内を明かした。

「最高のテニス人生を送れた」と笑みを浮かべた国枝さん。その功績の裏には、最高のパートナーの存在があった。