女子プロレスのリングで“世紀の一戦”を――。東京スポーツ新聞社制定「2022年度プロレス大賞」で女子プロレス大賞に輝いたのが、スターダムの前ワールド王者・朱里(33)だ。ベルトを失った今、23年は新たな試みでプロレスを世間にとどろかせる。ヒントになったのは、昨年10月1日に死去した“燃える闘魂”アントニオ猪木さんが1976年6月26日にボクシング世界ヘビー級王者モハメド・アリを相手に実現させた異種格闘技戦だ。
――2022年を振り返って
朱里 怒とうでしたね。振り返ることなく突き進んだ1年でした。(ユニット)ゴッズアイを立ち上げ、タイトルも10回の防衛ができて。プロレスにさらに向き合うことができた幸せな1年でした。いつも思っていることですが、周りの人への感謝を忘れちゃいけないなって。(20年9月に死去した)お母さんの存在だったり、周りの人の支えがあったからこそ、ここまでやってこれたというのが一番あるので。
――昨年12月29日両国大会でジュリアにワールド王座を奪われた
朱里 ベルトはなくなってしまったんですけど、新たな自分の章の始まりかなと思ってます。悔しいというより、ジュリアなら2023年に新たなチャンピオンとして何をやってくれるのか楽しみでもあるし、託した気持ちがありますね。
――次なる目標は
朱里 猪木さんみたいな異種格闘技戦をやりたいと思っています。自分だからこそできることだと思うし、今以上に世間にプロレスを広めたいと思ったとき、今やっていることではなく、異種格闘技で他のジャンルとやったら、もっともっとプロレスがいろいろな人に広まるんじゃないかと思ったので。
――どんな相手と
朱里 柔道なのかレスリングなのかわかりませんけど、理想を言えばメダリストがいいですね。名前がある人のほうが、興味を持ってくれる人が増えると思うので。例えば猪木さんはアリさんと異種格闘技戦をされ、めっちゃ影響を与えましたよね。お二人の試合には当時、賛否両論があったと思うんですが、世間を巻き込むことができたのは事実です。私がやりたいのは、そういうことなんです。
――格闘技をもう一度やりたい気持ちは
朱里 格闘技自体はやり切った感があります。UFCだと結果を残せてないですけど、MMAのパンクラスとキックのKrushでチャンピオンになってUFCと契約して、日本人で初めてUFCで勝った女子になれた。日本の裏のチリまで行って試合をする経験とかってなかなかできない。もちろん、めちゃめちゃ悔しかったですよ。毎日6時間くらい練習しまくって、30時間くらいかけてチリまで行って、30秒で負けるって(笑い)。
――プロレスの方ではやり切った感は
朱里(元K―1の)魔裟斗さんのように、まだまだできるけど、自分の中で悔いがなく、輝いた状態でやめるのが理想かな。(やめるのは)やり切ったと思えたときですかね。
――つまり、まだやり切ってない
朱里 もちろん! 異種格闘技戦もそうだし、IWGP女子王座ができたので視野に入っているし。コロナが落ち着いてきたので海外でも試合をしたいですね。私はニューヨークで試合をしたことがあるし、CMLLのベルトを持っていたのでメキシコでも試合をしていますし。CMLLではカマイタチ(高橋ヒロム)さんがセコンドに就いてくださったんです。
――また海外で試合をしたいと思ったのはなぜ
朱里 昨年10月に(米プロレス専門誌)PWIの女子のランキングで1位になれたんです。向こうではWWEやAEWのほうが知られている中で、日本人の女子で1位になったのは私と華名さん(WWEのアスカ)だけと聞きました。専門的に見ている方が決めたランキングなので、まだ見たことがない人に生で朱里のプロレスを見てほしいなって思います。
――今後のスターダムをどうしたいか
朱里 まだまだ上を目指して、単独で東京ドーム大会を実現させたいですね。いつかはWWEのような世界的な団体になれたらいいなと思います。
【感無量「結果につながってうれしい」】朱里には東京・中野区のブシロード本社で、東京スポーツ新聞社の平鍋幸治取締役編集局長からトロフィーと表彰状が授与された。赤いドレスに身を包んだ朱里は「2022年はこの女子プロレス大賞を一つの目標としてやってきたので、結果につながってうれしいです」と感無量の表情。平鍋局長は「苦労なさって、いろいろなことがあったと思いますが、この女子プロレス大賞をさらなる飛躍の礎にしていただければ」と期待の言葉をかけた。
☆しゅり 本名近藤朱里。1989年2月8日生まれ。神奈川・海老名市出身。2008年10月26日のハッスル宇都宮大会でKGのリングネームでデビュー。同時にキックでも活躍。総合格闘技デビューとなった2016年4月のパンクラス有明大会では浅倉カンナに勝利し、17年7月にUFCと契約。19年8月にプロレス復帰し、20年11月にはスターダム所属に。21年12月にワールド王座を初戴冠した。必殺技は朱世界。164センチ、58キロ。

















