侍にとって厄介な難敵となるのか。3月開催の第5回WBCで野球日本代表・侍ジャパンと同じ1次リーグB組(東京ドーム)に入った韓国代表の中に「打倒・日本」へ向け、並々ならぬ闘志を燃やす男がいる。LGツインズの守護神・高祐錫(コ・ウソク=24)だ。昨季42セーブで韓国KBOリーグのセーブ王に輝いた最速157キロ右腕はMLBからも熱い視線を注がれる存在へと急成長。一昨年の東京五輪・準決勝で日本を相手に味わった屈辱が、リベンジへの原動力となっているという。
日本の中では「やらかし男」として韓国国内で炎上した選手という印象が強いかもしれない。2021年の東京五輪で高祐錫は韓国代表に選出され、8月4日の準決勝・日本戦(横浜)に2―2の同点で迎えた8回裏から登板。一死一塁から近藤(当時日本ハム)を一ゴロ併殺に打ち取ったかと思われたが、自らがベースカバーに入りながら一塁を踏み損なうというミスを犯した。ここからさらに暴投と敬遠、四球で二死満塁のピンチを招いた末、山田(ヤクルト)に走者一掃となる痛恨の勝ち越し3点適時二塁打を浴びてKOされ、敗戦投手になっている。
終わってみれば東京五輪で韓国代表は期待されたメダルには届かず、参加6チーム中で4位に沈み、失意のまま帰国。特に宿敵・日本戦で「戦犯」となった高祐錫は、ネット上で韓国国民からの激しいバッシングにさいなまれた苦い過去がある。
だが、ここで味わった屈辱こそが高祐錫を日本へのリベンジへと突き動かすことになる。今月16日に韓国・ソウル市内で行われたWBC代表会見に出席した高祐錫は、韓国メディアに「前回の東京五輪では、自分の力が足りていなかったと思っている。あの準決勝での敗戦をきっかけに自分は2年間、成長しなければと誓ってここまで努力してきた」などと言い切り、初のWBC出場と「打倒・日本」への強い思いをにじませた。
その自信に満ちあふれた言葉通り、昨季はLGツインズの守護神として常時150キロ後半を計測するフォーシームに加え、ツーシーム、高速スライダーなどの変化球を操って61試合を投げ、4勝2敗、防御率1・48の好成績をマーク。42セーブで昨季韓国セーブ王となった若き守護神は大きく変貌を遂げ、かつて阪神やMLBで活躍した呉昇桓(オ・スンファン=現サムスン)の後を継ぐ存在として「石直球2世」との呼び声も高い。次のWBCでも韓国代表の絶対ストッパーとなって日本の前に立ちはだかることは必至だ。
侍関係者も高祐錫について「昨年10月にKBOリーグを視察した栗山監督がわざわざ名前を挙げ、要警戒マークをつけていた」と明かし「彼はMLBの複数球団から獲得に興味を示されており、来オフにもポスティングシステムによるメジャー移籍が確実視されていると聞いている。WBCの日本戦で大谷(エンゼルス)や村上(ヤクルト)ら侍ジャパンの強打者を相手に存在感を示すことができれば、MLB移籍に向けた自身のアピールにもつながり、ひいては最高の形で東京五輪のリベンジを果たすことができるだろう。そう考えると韓国代表の中で最も『打倒・日本』を意識している選手と言えるかもしれない」と続けている。
「(韓国国旗の)太極旗を身につけると自然と胸が高鳴ってくる」とも語っている高祐錫。愛国心も旺盛な「石直球2世」を日本は果たしてどう攻略するか。












