〝燃える闘魂〟に勲章ダーッ! 昨年10月1日に死去したプロレス界のスーパースター、アントニオ猪木さん(享年79)が叙位・叙勲を受けたことが、15日までに明らかになった。生前最後の日にさかのぼって、位階「従四位」、勲章「旭日中綬章」が授与された。日本のプロレスラーとしては初の快挙。プロレス・格闘技界やスポーツ界に残した多大な功績は誰しもが知るところだが、社会の発展にも広く貢献したことが認められた。
叙位・叙勲は、国や公共に対し功績があった人が死去した際に、その生前最後の日にさかのぼり授与される。昨年に閣議決定され、猪木さんに従四位(じゅしい)と旭日中綬章(きょくじつちゅうじゅしょう)の授与が決まった。
プロレス・格闘技界での活躍はもちろんのこと、参議院議員を2期務めて政治家としても奮闘。参院議員1期目の1990年には湾岸危機が起こったが、猪木さんはイラクに乗り込み、プロレス大会「平和の祭典」を開催。在留邦人の人質全員の解放につなげた。95年には平壌でも「平和の祭典」を行うなど、独自ルートで北朝鮮と関係を築いた。
そうした功績が認められた上での叙位・叙勲。プロレスラーではこれまで外国人叙勲で、スポーツ界の発展および日米の友好親善に寄与した故ザ・デストロイヤーさん、日本とメキシコの友好親善に貢献したミル・マスカラス氏が「旭日双光章(きょくじつそうこうしょう)」を受章しているが、日本のプロレスラーとしては初の快挙だ。
猪木さんのマネジメント会社「猪木元気工場(IGF)」によると、猪木さんはこれまでブラジル、キューバ、パキスタン、北朝鮮の4か国から勲章を授与されてきたという。2012年には「キューバ友好勲章」を受章。キューバ革命を指導した故フィデル・カストロ氏、ラウル・カストロ氏と親交があり、両国間の交流に貢献したことが認められた。
猪木さんが政治活動で掲げた「スポーツを通じた平和外交」は、他国には評価されていたが、あまのじゃくな猪木さんらしく照れ隠しで「オレに勲章はいらないんだよ」などと話していたという。一方で、当時は「日本は何もくれないんだよな~」ともこぼしていたとか。そうしたことから、IGFの担当者は「今回の叙勲で、猪木会長も大変喜ばれていることでしょう」と話す。
猪木さんへの叙位・叙勲の伝達は、23日に遺族を代表して実弟の猪木啓介氏が受け取る予定。猪木さんの代名詞と言っていい決めゼリフ「1、2、3、ダーッ!」にちなんで、1月23日に贈られる粋な計らいとなったが、この日はプロレス界にとっても重要な意味を持つ。猪木さんにとって生涯最大のライバルで、「BI砲」のタッグパートナーだった、故ジャイアント馬場さんの誕生日(1938年)に当たるのだ。
馬場さんは99年1月31日に亡くなったが、日本プロレス界にとっても2大巨頭の「馬場・猪木」に勲章が贈られることは悲願でもあった。今回は猪木さんへの「死亡叙勲」となったが、「馬場さんとともに、という意味もあるのでしょう」(IGF担当者)。
猪木さんと馬場さんは巷間伝わるような不仲では決してなく、「兄弟のような間柄だった」と多くの関係者が証言している。天国で猪木さんは馬場さんとともに、今回の叙位・叙勲を喜んでいるに違いない。
【元横綱千代の富士も受章】内閣府のホームページによると、「旭日章」は明治8年(1875年)に日本で最初の勲章として制定され、「功績の内容に着目し、顕著な功績を挙げた方」に授与される。6つある同章の中で「旭日中綬章」は、3番目になる。
近年のスポーツ界では、猪木さんと親しかった国民栄誉賞受賞者で元横綱千代の富士の故秋元貢さん、同じく猪木さんの友人で元参議院議員のプロ野球解説者・江本孟紀氏、大手スポーツ用品メーカー「アシックス」の尾山基取締役会長らが「旭日中綬章」を受章している。












