巨人が〝元メジャー右腕〟に熱視線だ。レンジャーズ傘下の3Aラウンドロックでプレーした有原航平投手(30)が、6日(日本時間7日)にFAとなったと発表された。11日(同12日)から日米すべての球団への移籍が可能となり、巨人も手ぐすねを引く。「発掘と育成」を一大方針に掲げてきたものの、育成重視だけでは優勝できない現実にぶち当たり、悩ましいジレンマに直面している。

 有原は今季の開幕を3Aで迎え、8月にはメジャーに昇格したものの1勝3敗、防御率9・45の成績で翌9月に再び3Aへ降格。日本ハムからポスティングシステムを利用して海を渡り、今季がレンジャーズとの2年契約最終年だった。

 右腕を巡っては複数のNPB球団が獲得に向けた調査を行っているとみられるが、巨人もその一つだ。球団関係者も「あらゆる選択肢を排除しない」と語っており、特に夏場以降は有原へのマークを強めてきた。チーム防御率3・69は12球団ワースト。投手が補強ポイントの一つであることは明らかで、NPB60勝右腕に白羽の矢を立てた格好だ。

 ただ、ここ数年は「発掘と育成」を大きなテーマに掲げてきた。ドラフト以外の補強は外国人にとどめ、昨オフはFA市場への参戦も見送った。しかし、別の球団スタッフは「当然、育成は続けていくけど、それだけでは勝てないと証明された。ウチは勝てなければどうしようもない。3年連続V逸は許されるものではない」と毅然と語る。

 今季、先発ローテでフル回転したのは12勝をマークした戸郷のみ。エースの菅野は不調と故障に苦しみ、最終登板でどうにか10勝に到達させた。若手では堀田や赤星ら8人がプロ初勝利を挙げたが、快進撃は一過性で次第に息切れする結果に終わった。実績のない若手が芽吹いたことは好材料ながら、背広組の考えはシビアだ。

「そうした若い選手たちは来季も期待はできるけど、計算が立つかというとそういうわけではない。育てながら勝つとは言うけど、そうやって若手を育てられるのは計算できる選手がいてこそ。育てたから負けていいという話にはならない」(あるフロント)

 戸郷のように安定した結果を残せる投手が数人はいなければ、チームが大型連敗に陥るリスクもある。加えて、連敗中に若手が登板すれば、必要以上の重圧を背負うことにもなる。それだけに、勝利を計算できるより多くの〝柱〟が不可欠というわけだ。

 2年連続で優勝を逃した上、5年ぶりのBクラスに沈んだ巨人にとって背に腹は代えられない。V奪回を果たさない限りは補強か、育成重視かの〝堂々巡り〟は続く。