雨中の戦いとなったセ・リーグのCSファイナルステージ第3戦(神宮)は、リーグ覇者のヤクルトが3位の阪神に5―3で逆転勝利を収め、無傷の2連勝で日本シリーズ進出に王手をかけた。主砲の村上宗隆内野手(22)に逆転2ランが飛び出すなど、シーズン通りの強さをいかんなく発揮。一方、追い詰められた阪神は、土俵際でどこまで踏みとどまれるか…。

【伊原春樹・新鬼の手帳】ヤクルトが連勝で王手をかけたが、この試合を決めたのは間違いなく村上だ。1点ビハインドの3回二死一塁から左翼へ放った逆転2ラン。とにかくあのホームランにつきる。

 フルカウントから阪神先発・藤浪が投じた外角低めの直球をきちんとスイングしてレフトスタンドへ運んだのには驚いた。普通の打者ならあのボールはホームランにはできない。追い込まれている中ではファウルにするのが精いっぱいだろう。さすが56本のホームランを記録した打者だ。阪神が幸先よく1点を先制して試合の主導権を握ろうとしていたが、あのような強烈な一発で逆転されると、そこから追いついて再逆転というムードにはなかなかならないものだ。

 さらにヤクルトはオスナの調子もいい。3―0の5回一死二塁から2試合連続となる本塁打をレフトスタンドへたたき込んだが、内角の難しいボールを体を回転してうまく打った。あれは技術がないと打てない。ヤクルトは塩見、山田、村上、オスナ、サンタナとホームランを打てる打者がそろっているうえにこの日は脇役の長岡にも一発が飛び出した。いくら阪神投手陣のレベルが高いといってもこれだけスキのない打線だと完璧に抑え込むのはなかなか難しい。

 阪神もヤクルトの7安打を上回る11安打と何とか走者は出したものの、決め手となるあと一本が出なかった。シーズン中と同じようにタイムリー欠乏症が続いている。7回無死一、三塁と9回無死二、三塁のチャンスで回ってきたマルテがいずれも犠飛を放ったが、点差を考えるとあそこは最低でもヒットがほしいところだった。

 矢野監督は第1戦で3三振の佐藤輝をスタメンから外したが正直、これには疑問が残る。確かに相手先発と相性が悪かったり、調子が悪いのかもしれないが、シーズンを通じて打線を引っ張ってきた中心打者だ。三振も多いが阪神では数少ないホームランバッターでもある。1、2戦を見てもわかるように短期決戦ではホームランの有無が結果を大きく左右する。連打、連打で得点することがなかなかできない阪神だけに佐藤輝を外すという選択はするべきではなかったと思う。

 後がなくなった阪神はエース・青柳が先発する14日の第3戦を何とか取って流れを変えたいところだ。しかし4番・村上がどっしりと構えるヤクルトとは打線の勢い、総合力とも差があり過ぎる。正直、ここから阪神が巻き返す可能性はかなり低いと見ている。

(本紙評論家)