一軍が勝ち星を拾えない一方で、由宇では若手の足音がにわかに大きくなっている。広島は5月を終え、50試合で18勝30敗2分け。借金12の5位に沈み、交流戦も開幕からロッテ、ソフトバンクに2カード連続3連敗で6戦全敗となった中、ファームでは別の緊張感が高まっている。下からはい上がった選手が、一軍で居場所をつかみ始めているからだ。
広島のファームは6月1日現在、西地区最下位。数字だけを見れば、一軍同様に厳しい。それでも二軍の使命は勝敗表だけにない。一軍で使える戦力を送り出すことも重要な役割であり、新井貴浩監督(49)も由宇練習場を本拠地とする二軍戦の動向に目を配る。その中で、7年目の持丸泰輝捕手(24)と、5月21日に育成から支配下登録を勝ち取った4年目の名原典彦外野手(25)の奮闘が、二軍ナインの刺激になっている。
持丸は4月11日に出場選手登録され、同19日のDeNA戦(マツダ)で4年ぶりに先発マスクをかぶった。5月に入ると出番を増やし、同5日のDeNA戦(横浜)でプロ1号、翌6日にも2戦連発。6月1日終了時点で34試合に出場し、打率2割2分8厘、3本塁打、9打点。もはや一時的な穴埋めではなく、扇の要の一角に食い込む勢いだ。
名原も負けていない。5月21日に支配下登録されると、翌22日の中日戦(バンテリン)でプロ初出場初先発。初安打に加え、初打点となる適時三塁打まで放った。27日のロッテ戦(マツダ)ではプロ初本塁打もマークし、31日終了時点で9試合に出場して打率3割4分2厘、1本塁打、3打点。一軍の空気を変える側に回った。
2人に共通するのは、今春キャンプ時点で主力候補として計算されていたわけではなかったことだ。いずれも育成出身。遠回りを知る苦労人が、昇格だけで満足せずスタメンで結果を出している。二軍関係者も「一軍に上がるだけでなく、そこで結果を出しているのが何より大きい。こちらも『あいつらにできるんだから』と尻をたたきやすい」と話す。
借金12の現実は重い。それでも下から吹き込む風まで止めてしまえば、反攻の芽はさらに細る。持丸と名原の突き上げを一過性の勢いで終わらせるのか、起爆剤にできるのか。新井監督ら一軍首脳陣には、この流れを最大限に引き出す手腕が求められている。












