負ければラストゲームとなる大一番で生き残った。セ・リーグのCSファーストステージ第3戦が10日に横浜スタジアムで行われ、シーズン3位の阪神が、同2位のDeNAに3―2で勝利。対戦成績2勝1敗でファイナルステージ進出を決めた。勝敗の差を分けたのは何だったのか。舞台裏では阪神現場サイドの闘志に火をつけた、一部虎OBたちの〝失礼動画〟があったという。

 試合は先発・才木が3回までに2点を失い、なおも一死一、三塁。ここから繰り出した矢野燿大監督(53)の執念のタクトにナインも見事に応えた。

 2番手に、シーズン57試合で防御率1・17のセットアッパー・浜地を投入。牧を二ゴロ併殺に仕留める好救援で踏みとどまると、5回から岩貞、6回途中から西純と自慢の強力投手陣を惜しげもなく投入。この3人が8回二死まで1安打、無失点の好救援リレーを披露すると、前日までの2試合で2得点だった攻撃陣も中盤に奮起した。

 4回に佐藤輝の追撃弾で1点を返し、6回には、北條の左翼線二塁打を足がかりに、近本の右越え適時二塁打で同点、さらに原口の左前適時打で3―2と試合を引っくり返した。

 1点リードで迎えた最終回、5番手の湯浅が一死満塁の大ピンチを迎えると、指揮官はベンチを飛び出しマウンドへ。「もう、行くしかないやろ! 強気や! 楽しめ! どんな結果でもいいから思い切って行け!」と〝闘魂〟を注入。薄氷の1点を守り切った。

 CS進出チームで最も低い勝率4割8分9厘、レギュラーシーズンで1点差試合が20勝25敗と〝勝負弱い〟と言われたチームが奮起した背景には、先月下旬以降、ひっきりなしに続く一連の新監督報道もある。

 もちろん春季キャンプ前に「今季限り」を公にした矢野監督にも〝要因〟はあるのだが「これは、ちょっと違う!」と憤慨する関係者が多いのは、CS進出で戦いが続いているにもかかわらず、矢野政権を〝総括〟した情報発信が相次いだこと。しかも本来は現場を後押しする立場でもあるはずの数人のOBまでもが、まだ新監督正式発表前にもかかわらず、ユーチューブ等で「やはりタイガースを再生できるのは生え抜きOB」と思わせぶりに結論づけ、矢野政権下でのチーム作りに「否」を突きつけはじめたことにある。

 これまでは少々、辛口の声にも叱咤激励と受け取ってきた現場サイドは看過できなかった。〝まだ終わったわけじゃない〟と、それぞれの反骨心に火がついたわけだ。

 外野の声を沈黙させるには勝ち続けるしかない。試合後の矢野監督は「これでおもしろくなった。甲子園に帰って日本シリーズをファンの皆さんに見せたいし、僕自身も経験したい。まだまだ、ドラマは終わらない」とキッパリ。〝集大成〟のポストシーズンで「俺たちの野球」への評価をもう一段階、必ず上げる決意だ。