阪神の次期監督に球団OBで元監督の岡田彰布氏(64)が内定した。レギュラーシーズン終了後に正式発表される。阪神が最後にリーグ優勝した2005年の指揮官に、チーム再建を託すことになったが、手腕は確かな名将とはいえ、なぜ今、岡田氏なのか。当初の有力後任候補が消えた背景と、球団が岡田氏にかじを切った理由は…。

 就任4年目だった矢野監督は、キャンプ前日の1月31日に自ら今季限りでの退任を表明。以降、シーズンと同時進行で、球団があたっていた後任監督の選定作業が、シーズン終了間際にようやく決着となる。

 当初、球団が後任候補にふさわしい人物としていたのが、FA補強などは必要最小限にとどめ、ドラフトで獲得した選手を数年かけて計画的に主力に育てあげる「育成路線」の継承者。藤原嵩起オーナー(70)も前半戦終了時「腰を据えて選んで、腰を据えて育成して、そして活躍してもらう。それが一番いい方法」とし、平田勝男二軍監督の昇格を基本線に後任人事の選定を進めてきた。

 だが、8月に入ると風向きは徐々に変化した。原因となったのは後半戦の再失速だ。勝率5割の2位ターンで期待を抱かせたものの、その後チームは、大山、近本ら主力勢がコロナ感染で大量離脱すると8連敗。特に8月以降、急増した失策数や、球団記録ワーストを更新した26度の零封負けなど、チームはもろさを露呈した。

 9月17日にV逸が決まると、CS進出圏内の3位すら危うい状況となり、電鉄本社のみならず、グループの親会社である阪急阪神ホールディングスも危機感を募らせた。

 特に9月は主催試合が多かった本拠地・甲子園でも13試合で5勝7敗1分け。虎党の怒りの矛先は退任する矢野監督だけでなく、コーチ陣の指導力にも向けられた。

 そんな声を敏感に察知した電鉄本社側も再度、検討を余儀なくされ、最終的には「選手だけでなく、指導者も育成できる監督経験者」(電鉄本社)と、05年の優勝監督でもある岡田氏の再登板にかじを切った。

 今後は、コーチ陣の人選に着手。4年間の矢野政権では、一軍コーチ陣の〝出入り〟の少なさも特徴的だった。昨年までで球団を去ったのは清水雅治氏、平野恵一氏の2人のみ。途中加入の2コーチ(井上ヘッド、北川打撃)を除くその他のコーチは、全員が19年の就任初年度から矢野監督を支えてきた。そんなコーチ陣たちにも、球団から一定の〝判断〟が下る。岡田政権誕生前には、ここにもメスが入る見通しだ。

 岡田氏は過去の指導者経験で一、二軍の監督経験に加え、一、三塁のベースコーチも歴任しており、豊富な指導者経験に基づいた「次世代の指導者育成」の期待も担う。候補となるのは、岡田氏の最初の監督時代でもある05年のVメンバーたち。今岡真訪氏、藤川球児氏、鳥谷敬氏、関本賢太郎氏らの面々だ。

 いずれにしても、15年ぶりの再登板となる岡田氏には、常勝軍団復活とその屋台骨を担う新任指導者の〝コーチのコーチ〟的役割も期待されている。