思いが込み上げてきた。陸上の日本学生対校選手権初日(9日、たけびしスタジアム京都)、女子1万メートルが行われ、日本歴代3位(30分45秒21)のタイムを持つ不破聖衣来(拓大2年)は、32分55秒31で初優勝。約5か月ぶりのレースで、きっちり結果を残した。

 フィニッシュ後の涙が、苦悩の日々を物語っていた。昨季は圧倒的な走りで世間をにぎわせたが、今季は世界選手権(7月、米オレゴン州)への出場を目指していた中で、ケガの影響もあって代表選考会を兼ねた5月の1万メートル日本選手権を欠場。その後も貧血などで、思うような練習が積めず「この大会自体も直前まで出るかどうか、すごく迷っていた」と不破。指導する五十嵐利治監督によると、今週の頭にようやく出場の決断を下したという。

 久しぶりに味わった実戦感覚。不破の勝負勘は消えていなかった。中盤はあえて先頭の座を譲り、7000メートル付近でギアチェンジ。「出るプランはなかったけど、ここで勝負したいという思いがあったので、気後れせずに行ってみようと思った」。1キロ3分10秒台のペースで後続を引き離し、周囲を驚かせた。

「たくさん支えてくれた方々の顔が浮かんで、ここで頑張っていきたいと思った。スパートをかけたところが実は一番きつくて、もつか分からなかった。でも、感謝を結果で返したかった」。笑顔があふれ出た。

 まだ万全な状態ではない。11日の5000メートルは欠場予定。それでも、直近の目標は定まっている。「世界と戦う中で日本記録は1つの通過点。そこは切れないと勝負できないと思っているので目指していきたい」。日本記録は新谷仁美(積水化学)が持つ30分20秒44。まずは日本一の壁を打ち破ってみせる。