冬季五輪界のレジェンドに新たな勲章が加わる。政府は28日、スピードスケートで夏冬通じ日本女子最多となる通算10個の五輪メダルを獲得した高木美帆さん(32)に国民栄誉賞を授与すると発表した。スポーツ界では14例目で、授与式は8月4日に首相官邸で行われる。4月に現役引退を表明したスケーターは〝気配りの人〟だった。

 2月のミラノ・コルティナ五輪では3個の銅メダルを奪取。通算10個の五輪メダルは、日本勢が冬季五輪で勝ち取った総数(100個)の10分の1にあたる。長きにわたりスピードスケート界をけん引してきた高木さんは「正直なところ、私一人が受け取るのには、身に余る光栄だという思いもあります。スピードスケート競技では初めての受賞となりますが、これもひとえに歴史をつくり続けてくださった諸先輩方や、ともに戦い続けてきた仲間たち、支えてくれた関係者のみなさまのおかげです」と率直な思いを明かした。

 2023年には「team GOLD(チームゴールド)」を結成。イフイング社が展開するTOKIOインカラミと所属契約を結び、他の企業のサポートも受けながらいばらの道に飛び込んだ。高木さんは前例のない挑戦を通じて、周囲のサポートの大きさを改めて実感。関係者によると、ミラノ・コルティナ五輪前にはスポンサー関係者に手紙を通じて「ここまで歩みをともにできていることを強く誇りに思います」などとつづっていた。

故郷・幕別町でのパレードで、子供たちと写真に収まる高木美帆さん(幕別町提供)
故郷・幕別町でのパレードで、子供たちと写真に収まる高木美帆さん(幕別町提供)

 5月には故郷の北海道幕別町で開かれたパレードや交流会に参加し、町民との交流を深めた。引退後も多忙な日々を過ごしていたが、高木さんの希望もあって実現したという。幕別町の担当者は取材に対し「これまで応援していただいた方や支えていただいた方に、直接お話をしたいと常々おっしゃっていた。感謝の気持ちをお伝えする場があればとのことだったので、パレードとして開催できればいいんじゃないかとなりました」と説明。「常にいろんな方々への思いを大事にされている方だなという印象でした」と語った。

 冬季五輪メダリストではフィギュアスケート男子で五輪2連覇の羽生結弦以来、史上2人目の快挙。幕別町役場には横断幕が掲げられるなど、祝福ムードが高まっている。高木さんは「みなさまを代表して受け取る心意気で、拝受したいと考えております」。周囲の支えを胸に滑り続けた結果が、また一つ形となった。