【赤坂英一 赤ペン!!】 ヤクルトを襲った最大規模の新型コロナ禍は、今後のペナントレースにどんな影響を及ぼすのか。
首位独走態勢に入り、優勝マジック49を点灯させているヤクルトの絶対的優位は当面揺るがない。が、高津監督をはじめ、山田、塩見、青木ら主力を含む27人が陽性判定を受けた事態は極めて深刻。陰性の選手のみで行われるという12日からの中日3連戦開催を不安視する声もある。
試合は戦力不足、主力は隔離中で練習できない期間が長引けば、チーム全体の失速につながりかねない。実際、過去には似たような前例もある。
その最たる例は1996年、11・5ゲーム差をつけて首位を独走しながら、巨人にひっくり返されて「メークドラマ」をなさしめた広島だろう。この年は7月から巨人が猛追を始め、焦った三村監督が抑えの佐々岡(現監督)に連投を強いたのが敗因と批判された。しかし、のちに佐々岡が明かしたところによると、実は「集団風邪」が失速の原因だった。
7月後半にチーム内で風邪が流行し、佐々岡も感染した。そこで、山内泰幸が急きょ代わりに抑えに回ると3連敗(前後を含めると5連敗)。「あそこからズルズルいってしまった」というのである。2位とのゲーム差や失速した時期は今のヤクルトにそっくりだ。
2009年の日本ハムも夏場にパンデミックに見舞われた。2位以下に4~5ゲーム差をつけて首位を走っていた8月、突如A型インフルエンザが襲いかかってきた。高齢者の死者も出した強力な新型ウイルスに、糸井や小谷野、八木、宮西ら主力を含む11人が感染。福良ヘッド、真喜志コーチも陽性反応を示して隔離された。
当時は今のような「コロナ特例」はなく、集団感染でも試合は行われていた。が、まともなオーダーが組めない梨田監督は、旭川での主催試合を中止するよう球団に訴えた。理由はグラウンド状態の不良。相手の楽天・野村監督に「逃げたな」と嫌みを言われている。
その後、札幌ドームの試合では25人のベンチ入りメンバーが19人に激減。8、9月は2度の6連敗を喫し、マジックもついたり消えたり。どうにか滑り込みで優勝したあと、梨田監督はインフルエンザではなく、心労で寝込んだそうだ。
その09年には幸いにも感染を免れていた梨田氏は一昨年、新型コロナに感染。闘病生活を経て解説者として復帰している。野球も人生も何が起こるか分からない。今のヤクルトもまたしかり、だ。
☆あかさか・えいいち 1963年、広島県出身。法政大卒。日本文藝家協会会員。最近、Yahoo!ニュース公式コメンテーターに就任。「最後のクジラ 大洋ホエールズ・田代富雄の野球人生」「プロ野球二軍監督」(講談社)など著作が電子書籍で発売中。「失われた甲子園」(同)が第15回新潮ドキュメント賞ノミネート。他に「すごい!広島カープ」「2番打者論」(PHP研究所)など。












