ロッテ・佐々木朗希投手(20)が、6日のソフトバンク戦(ZOZOマリン)に先発し、12日ぶりのマウンドで6回91球、6安打1失点、11奪三振と好投した。勝利投手の権利を持ったまま降板したものの、チームは3―5と逆転負け。4勝目とはならなかった。それでもこの日は相手エース・千賀との投げ合いが注目され、自身も新境地が開けた様子。あえて千賀にぶつけた井口資仁監督(47)の狙いとは――。


 今季6試合目にして初めてカード頭での先発に回った佐々木朗のローテ配置転換は、就任5年目の井口監督の用意周到な作戦とも言えそうだ。

 この日も佐々木朗を視察したMLBスカウトは、このタイミングで佐々木朗をカード頭に持ってきた井口監督のマネジメントをこう解説する。

「開幕前からあらかじめ予定していたのだと思います。もちろん、まだ年間を通じて先発ローテーションで回ったことのない投手。本当に今年、それができるのかを確認していたのが4月。結果『問題ない』ことは、誰の目にも明らかなものすごいパフォーマンスでしたが。ただ、この配置転換は平日にナイターにたくさんお客さんを集めたいとか、集客面だけの決断ではないはず。むしろ、佐々木朗にではなく、チームに波及効果を見込める」

 どういうことか。同スカウトの言う〝チーム〟とは、現在の先発陣の並びにある。

 佐々木朗が6日に投げた後には、現時点で防御率0・87のエース右腕・石川。さらにはリーグナンバーワンの防御率を誇る助っ人左腕・ロメロが続く。160キロ台の直球と140キロ台中盤の高速フォークを武器にする佐々木朗をカード頭にすることで、後ろの2試合に投げる2人がさらに〝生きる〟という。

「石川にしても、ロメロにしても、決して三振を多く取るタイプではなく、変化球をまぜて打者のタイミングをずらして打ち取るタイプ。カード頭に速球派を先発させた次の日にゴロアウトを取るのが持ち味の変化球投手が来ると、打者は直近の試合で、速球派に対応しようとポイントをより前に置いた分、余計にタイミングを合わせにくくなりますから」

 かつてダルビッシュ(現パドレス)が日本ハムのエースとして君臨していた当時、その翌日は軟投派のサウスポー・武田勝(現日本ハム一軍投手コーチ)が主に投げ、3年連続2桁勝利を挙げるなど「ダブルエース」として一時代を築いた。カード初戦から「チーム一の剛球型→制球力重視の精密機械型」の先発布陣は、敵にとってはより厄介なマッチアップとなりやすいという。

 カード初戦は必然的に各球団ともエース級を先発させ、先手必勝を狙うのが定石。単に佐々木朗で勝ちを拾いたいだけなら、わざわざ千賀にぶつけることもないが、井口監督は一気に〝3つ〟取りにきたというわけだ。

 満を持してこのタイミングで佐々木朗をカード頭で投入したのは、球界の至宝に成長した男を〝切り札〟に17年ぶりのリーグVを目指す井口監督の決意の表れとも言える。結果的に初戦を落としたとはいえ、今後の〝朗希効果〟が見ものだ。