体操界の〝Z騒動〟はどこへ行きつくのか。国際体操連盟(FIG)の渡辺守成会長(63)が8日、取材に応じ、ロシア選手が胸に「Z」の文字を付けた騒動に言及した。
ドーハで開催されたW杯でロシア代表のイワン・クリアクは、ロシア軍の戦車に描かれる「Z」の文字を胸に付け、表彰台に立った。この行為は批判の的となっており、FIGは第三者機関の「体操倫理財団」に判断を委ねている。
この騒動を受け、渡辺会長は「僕自身は『選手に罪がない』という原理原則に立っているが、そんな時にああいう行為が起きてしまった」と困惑を隠せない。現地メディア「チャンピオナット」によると、クリアクは「(胸の)旗にテープを貼るように」とロシア・オリンピック委員会から言われたことを明かし、Zマークについて「勝利のため」「平和のため」と説明している。
渡辺会長は「間違った行為だとは思う」としつつも「ただ、彼がなぜあの行為をしたのか。偏った情報、偏った教育でやってしまったのか、あるいはコーチや組織に指示されたのか。小さい頃から体操ばかりやってきて、ある日に突然、戦争になってしまった。偏った情報を刷り込まれた可能性だってある。いろんな思惑が絡み合っている。そのあたりを一つひとつ客観的に判断する必要がある」と話す。
FIGは先週の理事会で国際大会でロシア、ベラルーシの選手を除外する方針を発表。その除外措置前の最後に今回の一件が起きてしまった。渡辺会長は「戦争なのでアンノーマルことが次々と起きる。そして様々な情報が選手の人生に大きな影響を与え、普段の平和な世界ではあり得ないことが起きる」とした上で「まずはウクライナの人々をどう助けるか。そして、これによって新たな分裂、新たな憎悪を生まないようにしないといけない」と語った。
クリアクの処遇は「体操倫理財団」の判断で決まる。同組織はスイスの元女性大統領のミシュリン・カルミー=レイ氏が委員長を務め、今回のパネルにはロシア、ウクライナなどを除いた中立国の弁護士などで構成されている。本人をはじめコーチ、ロシア体操協会らの事情聴取をへて、結論が出される。
渡辺会長は「今回は体操連盟としてステートメントを出し、厳しくロシアを非難しようとしたけど、思いとどまって倫理財団に判断をあおぐことにした。それぞれの主義主張があり、非情に難しい問題だが、社会通念に照らし合わせ、正しい判断をしてもらう」としている。












