ロシアのウクライナ侵攻がスポーツ界に多大な影響を与えている。世界の各競技団体がロシアでの大会中止を決定する中、選手に寄り添う立場の現場トップは対応に苦慮している。
国際体操連盟(FIG)の渡辺守成会長(63)は26日の理事会で国際大会をロシア国内で開催しない方針を固めた。大会ではロシアのドーピング問題やウクライナ侵攻を考慮して国旗掲揚や国歌斉唱を行わない一方で「選手に罪はない」との大原則に立ち、ロシア選手の参加は制限しないことも発表した。
しかし、理事会では様々な意見が噴出。ロシア側からは「個人の権利が守られるなら、ロシア選手が国歌斉唱や国旗掲揚を受ける権利もあるのでは?」との問題提起もあった。渡辺会長は「そうは言っても、今の状況でロシアの国旗を掲げれば選手が非難され、かえって負担になる」と反論したという。
一方、ウクライナ関係者の心中も穏やかではない。あるコーチは渡辺会長に電話をかけて「選手たちはロシアに攻められて練習できなくなった。それなのにロシアとウクライナの選手が同等に評価されるのはつらい」と訴え、暗に「ロシアの選手を出すな」とほのめかしてきたという。渡辺会長はコーチの主張に耳を傾けつつ「気持ちは分かるが、ロシアの選手が戦争を仕掛けたわけではないから」と説得。最後は相手も了承したというが、両国を納得させるのは容易ではない。
FIGはウクライナ選手の練習環境を確保し、基金を設立して生活を支援することを約束。かねて「どの国の選手たちも私の子供」という渡辺氏にとって、ロシアとウクライナ選手への配慮は今後も神経を使いそうだ。












