新たなる領域に達した。北京五輪のフィギュアスケート男子ショートプログラム(SP)が8日、首都体育館で行われ、宇野昌磨(24=トヨタ自動車)が自己ベストの105・90点をマークして3位発進。銅メダルに輝いた団体戦に続き、またしても好演技を披露した要因は〝失敗〟を恐れないメンタルにある。
平昌五輪では銀メダルを獲得し、世界の頂点が視界に入った宇野。「もっと成長したい、もっともっとうまくなりたい」。思いが募る一方で「目の前の結果を求めてスケートだけをしていると、そのうちにスケートっていうのが苦しくなる、そういった経験をたくさんしてきた」。結果にこだわるあまり、本来の自分を見失ってしまった。
北京五輪に向けての4年間は、平昌五輪でメダルを逃したネーサン・チェン(米国)が世界王者に君臨。国内でも羽生結弦(ANA)だけでなく、後輩の鍵山優真(オリエンタルバイオ・星槎)も台頭。「僕もいつか(ネーサンと)同じ立場で戦える存在になりたい、そしてこのままでは(鍵山)優真くんに置いてかれてしまう」。悩み続ける中で、ある気持ちが芽生えた。
「練習ではできているのに試合ではできないという方がだんだん多くなってきて、それだけ試合が難しいことだっていうのは分かっていた。ただ、今年思ったのは試合が練習に生きるものにしたい、練習が試合に生きるものにしたい」
自身の演技をよりよくするのはどうしたらいいのか――。「失敗したくないという気持ちではなく、練習してきたもの通りやって失敗をしても、その失敗したらどう生かすか」。練習でも試合でも目指すべき道は同じ。失敗を糧に成長を遂げればいいと気づいたのだ。
2大会連続のメダルは射程圏内。それでも、宇野の決意はブレていない。「このプログラムを完璧にできる確率は相当低い。なので、完璧な演技がしたいというよりも、ちゃんと次につながる演技を。失敗してもちゃんと自分の成長につながる演技そしたい」。10日のフリーは氷上で4年間の思いを演技に込める。












