オーストラリア政府が、テニスの4大大会全豪オープンのために空港に到着していた世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)の入国を拒否し、セルビア側が猛反発している。

 ジョコビッチは新型コロナウイルスワクチン接種免除が通ったとSNSで明かしたあと、飛行機でドバイから出発しオーストラリアに到着。しかし、入国の際に国境警備隊にビザの不備を指摘され、入国を取り消された。

 オーストラリアのスコット・モリソン首相が「ジョコビッチ選手が入国の際、予防接種を受けていない場合、医療上の理由で予防接種を受けられないという証明を提出しなければ、次の飛行機で帰国することになる。一切の特別扱いはない」と語っていた通りの展開。黙っていられないのは、自国の英雄に赤っ恥をかかされた格好のセルビアだ。

 セルビア「テレグラフ」は、「2人の警官に警備されながら、部屋に拘束され、チームの誰とも接触を禁止されている」とジョコビッチの現状を報道。「世界で最高のテニス選手が犯罪者のように扱われ、スキャンダラスな扱いを受けている」とオーストラリア政府を批判した。

 また、セルビアのブチッチ大統領はインスタグラムに声明を投稿。ジョコビッチと電話で話したことを明らかにし「セルビア全体が彼と一緒にいること、そしてセルビア当局は可能な限り短い期間で、世界最高のテニス選手への嫌がらせを止めるためにあらゆる措置を講じることを伝えた。国際法のすべての規範に従って、セルビアは正義と真実のためにノバク・ジョコビッチのために戦う」と〝徹底抗戦〟を表明した。

 一方のオーストラリア・モリソン首相はツイッターで「ルールはルール、特に国境に関しては。誰もこのルールを超えられない。オーストラリアがコロナによる死亡率が世界で最も低い国の一つであることは、我々の強力な国境政策のおかげであり、我々は引き続き警戒を続ける」と断固とした構えを見せている。

 ジョコビッチを巡る騒動は、外交問題の様相を呈してきた。