東京五輪の競泳男子背泳ぎで2冠を達成したロシアのエフゲニー・リロフ(25)が、約20万人が集結したプーチン大統領の演説集会で「Z」マークを付けて登壇後に大手水着メーカー「スピード」から契約を解除された。

 英メディア「インサイドザゲームズ」によると、リロフは18日にモスクワのルジニキ競技場で開催されたプーチン大統領の演説集会に出席。聴衆の一人としてではなく、ロシア軍の象徴となっているZのマークをあしらった上着を着用し、他のアスリートとともに登壇して喝采を浴びた。

 ロシアによるウクライナ侵攻を称賛する行動に、契約していた英企業のスピード社はすぐに対応。「スピードは、プーチンのウクライナ侵攻への支持を示すためにリロフがモスクワでの集会に出席した後、スポンサー契約を打ち切った」と同メディアは報道した。

 リロフは東京五輪の背泳ぎ男子100メートルと200メートルで金メダルを獲得するなど、水泳の世界王者に君臨。ロシアスポーツ界のスターとして国民から絶大な人気を誇り、プーチン大統領がその知名度の高さを利用した格好だ。

 スピード社は声明で「週末にモスクワのルジニキスタジアムに出席した後、エフゲニー・リロフとのスポンサーシップを即座に終了した」と契約の即刻解除を発表。「私たちはウクライナでの戦争を可能な限り強力に非難し、紛争の影響を受けたウクライナの人々、私たちのアスリート、そして私たちのチームメートと連帯する」として、リロフとのスポンサー契約料をウクライナの難民のために寄付する方針を併せて表明した。

 プーチン大統領に忠誠を誓った2冠王者。すでにロシア勢の国際大会への出場停止が決まっているが、さらに大型スポンサーまで失ってその代償は大きそうだ。