北京五輪で中国メディアの盛り上がりは最高潮に達している。

 中国でも羽生結弦は大人気。10日、羽生はメダルを逃したが、クワッドアクセル(4回転半ジャンプ)に挑んだ姿に「失敗でも英雄だ」と称賛する声が上がっている。

 さらに、中国代表としてフリースタイルスキーの女子種目に出場している谷愛凌(グー・アイリン)のことが連日、大きく報じられている。父が米国人で米国育ちの谷は2019年に中国国籍取得を表明。その後、中国人選手として大活躍。北京五輪でもフリースタイル女子ビッグエアで金メダルを獲得。スロープスタイル(決勝14日)とハーフパイプ(決勝18日)での3冠達成を目指している。

 ユーチューブチャンネル「地球ジャーナル ゆあチャン」で日中の情報を発信している中国人ジャーナリストの周来友氏はこう語る。

「アイリン選手は美貌と実力で人気選手として認知されている上、今回、金メダルを獲得しました。しかし、北京五輪に関しては、自国選手の活躍以上に羽生選手の報道が多い印象さえもあります。その一方、中国ではこうした人気選手の活躍に便乗しようとする動きも見られています」

 中国メディア「網易新聞」は先日、中国国内で、「羽生結弦」「谷愛凌」「金博洋」など、人気選手の名前が次々と商標登録申請の対象となっていることを報じた。

 谷の名前については、企業や個人によって約30件の商標登録申請が行われ、11件に申請許可が下り、第三者による商標登録が完了しているという。また、男子フィギュアで9位だった中国代表・金博洋についてもすでに商標登録が完了しているものもあるそうだ。

 周氏は「羽生選手についても、無関係な企業や個人による商標申請が行われていますが、その多くは申請却下となっています。しかし、羽生選手の中国の愛称である『柚子』を使った『羽生柚子』という商標はすでに無関係の中国企業によって商標登録が完了しています。五輪後にこうした選手たちの人気に便乗した動きが見られるのではないかと懸念されています。見境のない商標登録の動きに中国はどのように対応していくのか、注視していくべきでしょう」と指摘している。