復活Vの要因は――。名古屋ウィメンズマラソン(14日、バンテリンドームナゴヤ発着)で東京五輪補欠の松田瑞生(25=ダイハツ)が2時間21分51秒で初優勝。昨年1月の大阪国際女子マラソンで自己ベスト(2時間21分47秒)をマークしながらも代表漏れ。一時は引退も頭をよぎったというが「辞めなくてよかった」とほほ笑んだ。

 強風に苦戦する選手が相次ぐ中、松田は最後まで粘り強い走りを披露。アテネ五輪金メダルの野口みずき氏(42)は本紙の取材に「約1400キロ走った時もあったと聞いていた。走って作られた筋力はプラスに働いたと思う」と指摘した。

 さらに、マラソンでは初めて履いたナイキの厚底シューズの使用法についても言及。「前回(駅伝で)履いたときにケガをして『靴に自分が合わせないといけない』と思ったみたい。(シューズ職人の)三村仁司氏(72)の靴で厚底で走るための筋力を鍛えて、しっかり土台を作ってから乗り込んだ」と明かした。松田も「(厚底は)練習で4、5回しか履いていない」。逆算された強化策が実を結んだ。

 自己ベスト更新とならず、レース直後には悔し涙を見せたものの「五輪に出る気持ちでいて、出なかった場合はその後に日本記録に挑戦したい」と前を向いた。野口氏が「日本記録に手が届く選手」と期待を寄せる“なにわの腹筋女王”の逆襲劇が始まった。