ノア「N―1 VICTORY」最終公式戦が9日、東京・後楽園ホールで行われ、Aブロックは49歳の鉄人・杉浦貴が潮崎豪(37)を撃破。4戦全勝の単独首位で全日程を終えた。Bブロックは拳王(34)が中嶋勝彦(31)との壮絶な蹴り合いを制して勝ち点6で首位に立ち、優勝決定戦(16日、エディオンアリーナ大阪第1競技場)は杉浦対拳王に決まった。優勝者は11月2日両国国技館大会でGHCヘビー級王者の清宮海斗(23)に挑戦する。新生ノアの最強を決めるリーグ戦は、いよいよ最終章を迎える。

 第6試合、拳王と中嶋は立ち上がりから蹴りの真っ向勝負に出る。5分過ぎには顔面へのハイキックが交錯。小細工なしの打撃戦が続く。眼光鋭く胸板を蹴り上げる拳王。中嶋は不気味な笑みを浮かべて重い蹴りを返す。

 10分過ぎに岩石落としからのヴァーティカルスパイクで中嶋が勝利をたぐり寄せたかに見えた。だが、拳王はダイビングフットスタンプで勝負を互角に戻すや顔面へのソバット3連打にも耐え抜き、後頭部へハイキック。「ボコッ」という鈍い音が場内に響いた。そして15分過ぎには右ハイキックが顔面を直撃。中嶋は一瞬で意識を失い、レフェリーが即座に試合を止めた。

「結果待ちだが、運は必ず俺を勝利へと導くだろう。ノアを再びメジャーにするのは、ここにいる拳王だ」と勝利の余韻に浸ることなく語ると、セミでは勝ち点4で拳王を追走していたドラゴンゲートの鉄人・望月成晃(49)が、勝ち点3の谷口周平(42)に敗退。この瞬間、拳王の優勝戦進出が決まった。

 そしてメインでは杉浦と潮崎が激突。潮崎は開始から豪快な胸板への逆水平チョップで、ハレンチ王の胸板を切り裂いて流血させた。それでも圧巻のスタミナとタフネスさでひたすら耐え抜いた杉浦は13分過ぎ、まさかの反撃に出た。エプロンから俵返しで潮崎を場外に投げ捨てたのだ。

 勝負に出た必殺のフロントネックロックはゴーフラッシャーで返されるも、20分過ぎには顔面へのヒザ蹴り連打。顔面へのエルボーを挟み、五輪予選弾連打で3カウントを奪って4戦全勝で優勝決定戦進出を決めた。

 試合後に拳王から「お前にはまだ一度も勝ててねえ。会社の犬になったことはさておいて、ノアでの存在感も実績もすげえよ。そのお前を超えないでノアは先に進められねえ」と挑発されると「大阪はお前との勝負だけじゃない。武藤敬司、秋山準、桜庭和志、藤田和之とも勝負だ」と、優勝決定戦は大阪大会に多数参戦するレジェンド勢にも内容で負けないことを約束した。

「全勝? まだ終わってないだろ。最後に勝ってこそ全勝だよ。しかし加齢臭よりも先に、全身からにじみ出てくるスター性はもう止めようがないな。スター選手もつらいよ…」と独特の表現でVへ気を引き締めた杉浦。王座戦でいまだ勝ちを許していない拳王の追い上げを突き放し、ノア最強の称号を得るつもりだ。

 また2020年最初の大会となる1月4日と5日の後楽園大会2連戦(4日は午後6時30分、5日は午前11時30分開始)も発表された。