
新日本プロレス「NEW JAPAN CUP」3回戦が17日静岡大会で行われ、ユナイテッドエンパイアのグレート―O―カーンがザック・セイバーJr.(34)に見るも無残な敗北を喫し連合帝国の恥さらしとなった。
史上最多48選手がエントリーした今トーナメントにおいて、オーカーンの実力は下の上、よくて中の下あたりに位置している。本来であれば1回戦敗退が確実と見られていたが、初戦の相手の飯伏幸太が欠場になるなど大僥倖が続き3回戦に進出。増長は止まらず、昨年のG1クライマックス公式戦で惨敗していたザックに対し「余が貴様をジャスト・タップ・アウトだ!」などと身の程知らずな挑発を繰り出していた。
果たしてリベンジマッチに臨んだオーカーンだったが、まるで成長していない……。開始早々から場外に降りてイスを手にする意味不明な行動で観衆をゲンナリさせると、グラウンドの攻防ではやはりザックのテクニックにかなわない。ならばと場外鉄柱を使ってのクロスヒールホールドをはじめとした反則攻撃を駆使し、なりふり構わぬ反撃に出る。みっともないが仕方ない。お前はカレイだ、泥にまみれろよ。
オーカーンは唯一の取りえと言っていい恵まれた体格を生かしてザックを攻め立てる。首折り弾から右ヒザをつかむと、そのまま相手を持ち上げてエリミネーター(アイアンクロースラム)の要領でマットに叩きつけた。だがよくよく考えれば正調よりも高さがないため威力は落ちるし、見栄えもイマイチ。技のチョイスミスは連鎖し、公私混同・自己満足の結晶と言っていい大空スバル式羊殺しホロバージョンでザックからギブアップを奪おうなど夢のまた夢だ。
ようやく過ちに気付き正調のエリミネーターを仕掛けるも、バカの一つ覚えの必殺技はとうにザックに読み切られていた。発射寸前で飛びつき腕ひしぎ十字固めに捕獲されると、そのまま三角絞めで捕獲されてしまう。脳筋オーカーンはこれを強引に持ち上げようとするが、ザックに腕を完全に伸ばされてしまいあえなくタップアウト。技術、経験、知性、気品、生活水準すべてにおいて完敗だった。
生活水準で思い出したが、ある先輩レスラーによるとオーカーンは今シリーズ中のある地方大会で控室にあった残り物のケーキを食い荒らし、その後は箱に入れ直して自宅に持ち帰ったらしい。さらにその日の弁当を4つも持って帰ったといい、その卑しさに先輩レスラーもあきれかえっていた。英国紳士・ザックに勝つには人間性から見つめ直したほうがいい。
右ヒジをアイスパックで冷やしながらバックステージに現れたオーカーンは、宙を見つめるばかり。何かを言おうとしても言葉が出てこず、結局無言で会場をあとにした。敗戦のショックのあまりなのか、それとも今日の弁当を何個持ち帰るかで頭がいっぱいだったのかは分からない。とにもかくにも2021年度プロレス大賞技能賞受賞者が完璧なタップアウト負けを喫した以上、賞金の返上は免れないと言っても過言ではない気がする。
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