新日本プロレス9月4日埼玉・メットライフドーム大会でIWGP・USヘビー級王者・棚橋弘至(44)に挑戦する飯伏幸太(39)が本紙の取材に応じ、復帰へ向けた思いを激白した。メインイベントでIWGP世界ヘビー級王者・鷹木信悟への挑戦が決まっていた7月25日東京ドーム大会を誤嚥性肺炎のため無念の欠場。飯伏の身にいったい何が起きていたのか。そして棚橋の指名で実現する王座戦に秘める決意とは――。

 飯伏に異変が生じたのは7月10日札幌大会直前だった。発熱と体調不良で北海道入りを断念。同12日には40度超の高熱にうなされた。「40・7度が出て、こんなに上がるわけないと思って2回目を計っても40・6。これはまずいと思って会社に電話して、会社が救急車を呼ぶとなったので呼んでもらって」。当初は新型コロナウイルスのワクチン接種の副反応が疑われたが、精密検査の結果、誤嚥性肺炎と診断された。

 IWGP世界挑戦が決まっていた東京ドームのメインはレスラーにとって最高峰の舞台だ。しかも同い年の同期で特別視する鷹木が王者として待ち構えていた。ベルト奪還への思いも強く「なんとしても出たい」と医師と相談を重ねたが出場はかなわなかった。「本当に苦渋の決断。だから絶対にいつか実現させたいっていうのはある。鷹木信悟とIWGP世界ヘビーで戦う。これは変わらない。会社にも迷惑をかけたし、ファンの方にも鷹木信悟にも失礼というか申し訳ない気持ちもある。そこで(自身に代わって)棚橋さんが出てくれたことにも、ものすごく恩を感じてます」

 鷹木に惜敗した棚橋は、直後にUS王座を獲得。その初防衛戦の相手に指名されたことで約2か月ぶりの復帰が決まった。トレーニングは8月5日から再開しているものの「調整の仕方が難しくて焦ってる部分はある」と今もまだ試行錯誤の段階だ。復帰即王座戦も高いハードルだが、「棚橋さんなりのエールであり厳しさでもあるのかな。それに応えたいのは当たり前なんだけど、回復するしないに関係なく、自分のなかでの100%を出し切ろうと。棚橋さんへの恩(返し)、ケジメ、そのへんが全てですね」と決意を明かした。

 棚橋からはUS王座挑戦に際し「寄り道していっても悪くはないと思うよ」と呼びかけられたが、飯伏は「寄り道なんかないですよ」と即答した。「休んでいる期間見ていて、一番輝いてるの棚橋さんなんですよ。やっぱりすごいなと。これが一番自分の復帰の近道であり、プロレスラーとして上がる近道であり、鷹木信悟との約束のための近道になるのかなって。USを何も考えてないわけではないですよ。ただ今回ばかりはベルトより、対棚橋弘至。こっちの方が重要かな」

 艱難(かんなん)辛苦を乗り越えて、再び頂点へたどり着けるか。ゴールデンスターが再起への第一歩を踏み出す。