冬の札幌で何かが起きた! 新日本プロレスの札幌大会(2日)で、前IWGPヘビー級王者のオカダ・カズチカ(32)がタイチ(39)とのシングル戦で勝利を収め、復活ののろしを上げた。ところが試合後のリング上では団体創始者、アントニオ猪木氏(76)の名前を挙げて場内を騒然とさせるひと幕も…。ベルトを失ってなおも話題を発信し続けるレインメーカーの狙いとは――。

 新日プロデビュー戦の相手と約12年ぶりに一騎打ちしたオカダは、タイチの猛攻に手を焼いた。それでも天翔十字鳳(トラースキック)をキャッチし、旋回式ツームストーンパイルドライバーを発射。レインメーカーで30分超の激闘を制した。

「何かが起きる冬の札幌」で順当勝利を収めるも、その直後に“事件”を起こす。「僕が今、気になっている人のことを言わせてください。アントニオ猪木!」と絶叫したのだ。長らく新日プロと疎遠となっている猪木氏の名が唐突に、しかもオカダの口から出たことは衝撃と言える。真意を問う本紙の直撃に対しても「答え合わせは、まだでしょ」と意味深な笑みを浮かべるのみだった。

 東京ドーム大会(1月5日)でベルトを失って以降、ある意味自由奔放な言動で話題を振りまくようになった。今回の猪木発言の前には、2020年オールスター戦開催を提唱している。ともすればただのビッグマウスで終わってしまいかねないが、その裏には「もっとプロレスを盛り上げるために」という揺るがぬ信念がある。

 1月中旬には親交のあるタレントの武井壮(46)に誘われ、サッカー元日本代表MF本田圭佑(33=ボタフォゴ)や騎手の川田将雅(34)らと同席した会合写真をSNSに投稿し反響を呼んだ。「詳しくは話せないですけど、自然とプロレスの話題が出て『見たい』と言ってもらえたりもして、他の業界にも響き始めたのかなとは思いました」

 今年の東京ドーム大会では大相撲の横綱白鵬(34=宮城野)、ラグビーW杯日本大会の日本代表CTBラファエレ・ティモシー(28=神戸製鋼)、女子プロゴルファーの小祝さくら(21=ニトリ)ら他競技のアスリートも多く観戦。だからこそ「プロレスすごいな、みたいにしたいです。実際僕もラグビーを見に行くようになってますし、プロレスもそういう存在にしたいですよね」と、業界としてより注目度を高めていくことを強く意識しているという。 

 IWGP奪還はもちろん、来年こそのドーム超満員、プロレスの認知度向上と見据える理想は果てしなく高い。揺るがぬ業界の顔となったレインメーカーが、再起への一歩を力強く踏み出した。