〝邪道〟大仁田厚(64)が、古巣の王道マットに喝じゃ。全日本プロレス「50周年記念大会」(18日、東京・日本武道館)参戦を控える中、メモリアルイヤーの盛り上がりに物足りなさを指摘。「全日本のブランドにぶら下がっていてはダメ」と痛烈な言葉を投げかけるとともに、2つの〝起爆剤〟を投下した。

 同大会で大仁田は渕正信、越中詩郎と組み、グレート小鹿、谷津嘉章、井上雅央組との50周年記念スペシャル6人タッグマッチに出場する。マッチメークに異論はないが、問題は同戦が全12試合中8試合目に据えられたことだ。

「俺は刺し身のツマでしょ? 何で俺が8試合目なのかよく分かんねえんだよ。ダメダメ。俺たちは2試合目じゃないと」。この試合順こそ、現在進行形のカードで話題をつくれていないことの証拠だと不満を漏らす。

 大仁田は全日本旗揚げ2年後の1974年にデビューし、故ジャイアント馬場さんの付け人を務めた。だからこそ「最初の全日本、新日本って、馬場さんと(アントニオ)猪木さんの宿命のライバルがいて、2人がやるんじゃないかってソワソワしてたわけじゃないですか。今はそういうのがまったくない。軸がないよね」と嘆く。

 特に同じ年に旗揚げしたライバル団体に大きく水を空けられている現状を「申し訳ないけど、あんまり(客が)入ってるように見えないしね。やっぱり新日本と常に競い合ってる全日本であってほしい。今の全日本を馬場さんが見たら? 悲しむと思うよ」と厳しく指摘した。

 だからといって、このまま静観するわけにはいかない。大仁田は「はっきり言って50年たったんだから、新日本と最終戦争するくらいの勢いがないと。守ろうとしたらダメだよ」とハイリスク承知の打開策を提案する。

 さらに、もう一つのアイデアとして「それか奇想天外な展開に持っていくとか。3冠戦とかアジアタッグ選手権を電流爆破でやるとか、そのくらいの気持ちがないと。何をプライドを…全日本というブランドにぶら下がってたらダメだと思う。何だったら俺が電流爆破を持っていってやってもいい」と申し出た。

 もちろん古巣への愛があるからこその猛ゲキだ。「宮原(健斗)選手には期待している。今度デビューする人(安齊勇馬)もいるし、あの大きい兄弟(斉藤ジュン&レイ)もいる。あれが成長してくると全日本の時代が来るんじゃないの。俺も出身者として全日本というブランドの炎を消したくない。だから武道館には昔の水色のコスチュームで出ようと思っている。50周年のジャケットも着てね」

 刺し身のツマのはずが、大会の主役を奪わんばかりの闘志を燃やした。