東京五輪に臨む野球日本代表・侍ジャパンの楽天・田中将大投手(32)と巨人・坂本勇人内野手(32)が、仙台強化合宿中のチーム内で存在感を高めている。

 ソフトバンク・柳田、中日・大野雄と並び2人は侍ジャパンでチーム最年長。そして何より兵庫・伊丹市内の小・中学校の同級生同士で小学6年間はともに「昆陽里タイガース」でプレーし、当時捕手を務めていた田中将と投手だった坂本はバッテリーを組んでいた。

 あれから20年以上の月日がたち、田中将は名門ヤンキースで先発の主軸として大活躍。今季から日本球界へ復帰し、8年ぶりに侍ジャパンへ招集された。だが独特の〝レジェンドオーラ〟を放つ田中将に対して若い選手たちは同強化合宿の合流当初、どうしても近寄りにくく「どこか一歩引いてヨソヨソしい感じになってしまっていた」(侍ジャパン関係者)という。そうした中で中和剤的な役割を果たしていたのが、田中の幼なじみでもある坂本だ。

「あれは確か合宿2日目、練習開始前のアップの時だったと思う。坂本と田中がどちらからともなく近づいていき、かつての思い出話に花を咲かせ、すごく盛り上がっていたことがあった。若い選手たちも2人が笑顔を絶やさず和気あいあいと触れ合う様子を見て安心したのでしょう。この辺りから〝マー君の壁〟も一気になくなっていった」(前出の関係者)

 稲葉監督はあえてチームにキャプテン制を設けず、個々のカラーを出しやすい環境を整えている。それでも今のチーム内は幼少時からお互いを知り尽くす田中将と坂本の最年長コンビ投手、野手のポジション別で「事実上の主将」として若侍たちを引っ張る形になりつつあるようだ。