日本ハムの新庄剛志監督(50)が球界活性化のため〝ある秘策〟の実現に意欲を燃やしている。それが選手の「レンタル移籍」だ。

 すでにサッカー界などでは出場機会を求める選手のため、期限付きでの移籍が日常的に行われているが、野球界でこの制度を利用した移籍はない。ビッグボスはこの点に疑問を抱いているようで「俺は面白いなってふと思う」とニヤリ。「(選手が)出戻りで帰ってきたらね。レンタル的な感じで面白いなって。向こう(相手球団)もプラスになるし、こっちもプラスになるし。(選手が)ケガしている間は(交換して)、戻ってきたらまた替えようやみたいな。プロ野球を盛り上げるためにね」とレンタル移籍実現に向け、こんな理想を掲げている。

 この発言の裏には指揮官ならではの選手への配慮がある。

 プロ野球選手は一軍での試合出場で初めて評価されるが、チーム事情や首脳陣の好みで思うように出場機会を得られない選手が多い。特にレギュラーが固定化されているチームでは控え選手の出場機会はおのずと限られてしまう。実際、一部球団には「他球団なら確実にレギュラー争いができる」と評される選手が活躍の場を奪われているケースがある。

 また、選手層が薄い球団で故障者が相次げば戦力が急激にダウンしてしまう。その際に他球団で埋もれる選手を一時的にでも交換できれば互いの選手だけでなく、自軍や相手球団にもメリットは及ぶ。そんな持論がある新庄監督だからこそ主力を含めトレードやレンタルで移籍市場を活発化させたいのだろう。

「何なら(日本ハムの)上沢君と(巨人の)菅野君が替わってね。何勝かずつしたら戻るみたいな。それくらいのチームになってもいいですよ、ウチは。何なら(選手)4対4くらいで(レンタル期間)1か月半とかね」(新庄監督)

 日本球界では出場機会に恵まれない選手を救済する「現役ドラフト」が今オフようやく導入される可能性があるものの、選手の移籍には各球団とも消極姿勢が否めない。既成概念にとらわれないビッグボスがその風穴を開けることができるのか。