阪神・西純矢投手が8日の中日戦(バンテリン)に先発登板し6回を6安打3失点。勝ち星こそつかなかったが、スターターとしての責務を果たし4―3の逆転勝利に貢献した。

 この日、中日打線の「3番・三塁」としてスタメンに名を連ねた石川昂は西純とドラフト同期学年。両者ともに1位指名での入団だ。注目の対決は右邪飛(初回)、空三振(4回)、左中間本塁打(3号ソロ、6回)という結果になった。今後長く好敵手としてしのぎを削っていくだろう相手に許した一発を「きれいな一発でした。次に対戦する時はやりかえしたい」と虎の背番号15は悔しさを押し殺した。

 及川、井上(阪神)、奥川(ヤクルト)、宮城、紅林(オリックス)ら2019年ドラフト会議高卒入団組たちのライバル物語はまだ始まったばかりだ。そんな〝01年生まれ世代〟の筆頭格は、超規格外のスケールで今季の球界を震撼させ続ける令和の怪物・佐々木朗希投手(20=ロッテ)。先月10日のオリックス戦(ZOZOマリン)で28年ぶりとなる完全試合&19奪三振(NPB最多タイ記録)&13者連続奪三振(同新記録)という衝撃的な投球内容を披露した。

 阪神は今月末の交流戦(27~29日、ZOZOマリン)でロッテと対戦。現状のローテ回りからみても「西純VS佐々木朗希」のマッチアップ実現の可能性が高いだけに、チーム内外から期待の声が早くも高まっている。

 チーム関係者は「及川や宮城らが早くから一軍で活躍する中、いろいろな思いもあっただろう。ファームで鍛えついに純矢もステージに上がる時がきた。ロッテとの交流戦で佐々木朗と対戦の可能性も? 楽しみだよね」と胸を躍らせる。

 球団OBは「自分も同世代の選手たちと比較され続けるのは嫌だったしつらかった」と振り返りつつも「それでも好敵手の存在は間違いなく自分を成長させてくれる。西純は下半身が強くなり、制球やフォークなどの精度が格段に良くなった。勝てる投手になったなという印象だね」と期待を寄せる。

 目指すべき場所が高いからこそだろう。この日の試合後取材の場で西純が笑顔を見せることはほとんどなかった。黄金世代の〝名勝負数え唄〟から目が離せない。