球史にその名が刻まれた。ロッテの佐々木朗希投手(20)が10日のオリックス戦(ZOZOマリン)に先発し、1994年の槙原寛己(巨人)以来、史上16人目となる完全試合を達成した。内訳は三振19、内野ゴロ5、内野フライ1、外野フライ2。1試合19奪三振は日本タイ記録で、13者連続奪三振は64年ぶりとなるプロ野球記録となった。そんな怪物右腕を米国人記者はどう見たか。メジャー解説者からは「大谷以上」との声も上がった。

 20歳5か月での完全試合達成は史上最年少。しかも、わずかプロ14試合目での偉業達成はMLBでも例のない最年少記録となった。加えてプロ野球記録の13者連続奪三振、プロ野球タイ記録となる1試合19奪三振など記録ずくめの一日となった。

 最後の打者・杉本を3球連続フォークで空振り三振に仕留めた瞬間、控え目にセンター方向を向きガッツポーズを作った佐々木朗をナインが取り囲み、祝福のウオーターシャワー。お立ち台では「(完全試合は)正直あまり意識していなくて、打たれたらそれでいいかなと思って、最後まで松川を信じて投げました」と笑顔で歴史的な105球を振り返った。

 井口監督も「朗希に尽きる。(完全試合は)いずれやると思っていた。ファウルを打たせてカウントを追い込む、1回から9回まで徹底してできた。モノ(が違うことは)は誰もが分かってる、フォアボールがなかったのも良かった」とご満悦でチームに勢いをつけるパーフェクトゲームを称賛した。

 そして、この快挙はSNS時代らしくリアルタイムで海を越えた。ロサンゼルス・タイムズの名物コラムニスト、ディラン・ヘルナンデス記者は自身のツイッターで連続13奪三振をマークした5回以降の経過を逐一ツイート。試合終了直後には「NPB史上28年ぶり16人目のパーフェクト達成投手になった」と速報を打った。

 普段はドジャースを中心にエンゼルス・大谷翔平投手(27)もカバーしている同記者は、本紙の取材に「オオタニは打者としての動作が投手としてのものよりもなめらかだけれど、ササキの投手としての動作は打者・オオタニのものと同様に高い次元でなめらか。あのサイズ(1メートル90センチ、85キロ)の体を完璧に操っていて、そのパワーをナチュラルにボールに伝えている。(米国でも)エリートクラスのアスリートで、多くの球団スカウトが注目している」とコメント。

 常時158キロ以上、最速164キロのストレートと148キロの高速フォークを自在に操るその再現性の高さと、何より大谷を上回る最大の武器である制球力を絶賛した。

 近い将来、この怪物投手が大谷に続いて全米を席けんすることになるのか。この日の偉業により、メジャーの注目度がより高くなったことは間違いない。