プロ野球は補強期限が先月31日で終了し、巨人は支配下登録選手上限の70人で残りのシーズンを戦うことになった。来季は新たな編成が行われるため、球団内からは「オフにはその分、選手を切らないと」との声が上がっている。昨オフは15人が支配下から外れる〝大リストラ〟が断行されたが、今オフも大きな嵐が巻き起こりそうな雲行きだ。 

 巨人は締め切り直前の8月30日に2017年ドラフト1位右腕・鍬原拓也投手(25)と育成2位ルーキー・喜多隆介捕手(23)の支配下昇格を決定。これにより70人の枠が完全に埋まった。これを受けて球団関係者は「今年は支配下枠がいっぱいになったけど、その分、オフには選手を切らないといけない」と予告した。

 今季、63人で春季キャンプ初日を迎えた巨人は高木、戸田、平間ら育成から7選手が昇格。6月には米国から山口が加入したが、その一方で新外国人スモークの途中退団、FA戦士・炭谷の楽天への金銭トレードといなくなる選手もいた。

 さらに〝予定外〟だったのが日本ハムからの中田の加入。暴行問題を起こし無期限出場停止中だった中田が8月20日に無償トレードで加入した。

 当初、フロントは4月に右アキレス腱を断裂したテームズのポストシーズンでの復帰の可能性を信じて、支配下に置き続けていたがついに諦めた。テームズを自由契約にしたうえで、育成2選手を支配下に上げた。

 常勝軍団を維持するためには血の入れ替えは必須。戦力の見極めと新外国人、FA、ドラフトによる補強のためには、十分に支配下枠を空ける必要がある。

 理想の支配下の人数は何人なのか。昨季で言えば大塚球団副代表が「スタート(今季開幕時)を63、64にしたい」としたように、巨人には「63」が理想とされている。

 今年のドラフト会議はシーズン中の10月11日に開かれる。巨人が昨年と同じ6選手を本指名した場合、63人でキャンプ初日を迎えるには70人から13人の〝クビ切り〟が必要となる計算だ。

 昨季は引退した岩隈をはじめ直江、鍬原、高木ら5人を育成に落とすなど、支配下選手15人が〝リストラ〟の憂き目にあった。それでも5人が育成再契約を結んだため、球団を去ったのは実際には10人だった。

 今オフ、最低でも13人の支配下選手が巨人を去ることになれば、昨年オフ以上の「嵐」となる。

 リーグV3、さらには12年以来の日本一を目指す巨人だが、果たして18年の14人、19年の13人の入れ替えを超える〝大ナタ〟が待ち受けているのか…。当落線上の選手にとっては、優勝争い以上に気になるところだろう。