こうなったら関西頂上決戦や――。16年ぶりのリーグ制覇、さらには1985年以来の日本一へ突き進む矢野阪神。関連書籍は発売即バカ売れ、阪神戦のテレビ中継視聴率も絶好調で、お膝元の関西圏も「あかん優勝してまう」モード一色だ。ここまで順調すぎるほどにシーズンの戦いを消化してきたが、さらなる発奮要素も浮上してきた。

 25日のDeNA戦は、同月20日の緊急事態宣言解除後初となる本拠地・甲子園球場での開催。今季最多1万5011人の観客が球場に足を運んだが、結果は0―3の零封負け。先発・西勇は8回を7安打3失点(自責1点)と力投したが、相手ベンチの先手先手の継投策に後れをとり、打線も沈黙した。

 虎党たちのお目当て佐藤輝は4タコ。矢野監督も「もっと点を取れる打線なんでね。ゼロでは勝てない」とボヤキ節だったが、久々の〝大観衆〟を喜ばせたいという気持ちも強かったようで「見せ場をもっとつくりたかった。点が入って(ファンが)喜ぶところとか見せたかった。残念やね」と球場を後にした。

 とはいえ阪神は依然、2位・巨人に4・5ゲーム差をつけて首位。新型コロナウイルスが世相に暗い影を落とす中、矢野阪神の快進撃はすべての虎党たちの日常を明るく、力強く支え続けている。そんなタテジマ軍団にはリーグ制覇、さらには日本シリーズ制覇へ新たなモチベーションとなりそうなのが、同じく関西圏に本拠地を置くオリックスの躍進だ。

 エース山本の無双の快投に加え、19歳左腕・宮城も台頭著しい。野手陣は吉田正と杉本が首位打者争いを繰り広げる好調ぶりで現在パ・リーグ首位。1996年以来となる25年ぶりのリーグ制覇も夢ではない。

 阪神関係者は「我々も厳しい戦いの中にいますが、ぜひ秋にはオリックスさんと日本シリーズで戦いたいですね」と笑顔を浮かべる。前身の阪急時代も含めて阪神、オリックスともに85年以上の長い歴史を持つ老舗球団だが、これまで日本シリーズでの対戦は一度もない。「甲子園駅と(京セラ)ドーム前駅は我々の親会社でもある阪神電鉄の阪神なんば線でつながっています。それこそニューヨークのサブウエーシリーズのような両球団の頂上決戦が実現すれば関西圏は大きく盛り上がりますよ」(同)と力を込める。

 話題性、本拠地球場同士のアクセスの良さも含め、2球団の頂上決戦がが実現すれば様々なコラボ企画、日本シリーズ限定グッズ展開も盛り上がることだろう。虎党もオリ党もガマンにガマンを重ねてきた。そろそろ報われたっていいはずだ。