阪神ドラ6・中野 あのレジェンドOBと一致する複数の“共通項”

2021年06月15日 11時00分

ルーキーながら盗塁数はリーグトップを誇る中野
ルーキーながら盗塁数はリーグトップを誇る中野

【楊枝秀基のワッショイ!スポーツ見聞録】今年の阪神、沖縄・宜野座キャンプ初日のことだった。ベースランニング中、ある球界関係者が話しかけてきた。

「あの51番の選手、新人の中野だよね。一瞬、現役時代の赤星みたいに見えちゃったよ。遠目だと53番と見分けづらいしね」

 いや、まさか。そこまでのスピードではないでしょ? 確かに背格好は赤星氏が170センチ、中野は171センチで似通っているけど…。その全盛期を取材してきた「レッドスター」は正直、こんなもんじゃなかった。だが、自分の見る目のなさを早めに謝っておいた方がよさそうだ。

 阪神のドラフト6位ルーキー・中野拓夢内野手(24)は交流戦を終えて13盗塁とセ・リーグトップ。13日の楽天戦(楽天生命)も「2番・遊撃」でスタメン出場し、2安打2打点1得点1盗塁と勝利に貢献した。レギュラーとしての存在感を増している。注目したのは3回の第2打席だった。二死無走者で3球連続ファウルするなど粘った末に6球目の外角直球を左前打。すると次打者、マルテの初球に13個目の盗塁を決めた。揺さぶりが効いたのか、マルテに左前適時打が飛び出し、中野は先制のホームを踏んだ。

 盗塁は初対戦の新人左腕・早川が投じた初球だった。スコアラーからの事前情報がなければ難しかっただろう。その情報の精度が高かったとしても、即スタートした勇気は非凡だ。

 現役時代の赤星氏はこう話していた。「投手のクセなどの情報も、現場での自分の感覚も大切だけど、盗塁はスタートする勇気が大事」。新人ながら度胸のあるスタートを切った中野には、赤星氏と同様の特性を秘めているのかもしれない。

 強気な発言、熱いハートも共通項の可能性がある。赤星氏は「体の大きい選手に勝つためには毎日120%で試合に臨まないといけない」と常に全力で相手に立ち向かった。熱くなり過ぎて、心ないファンからのヤジにはフェンス越しに食ってかかったこともあった。

 このあたり、中野の性格をつかみ切れてはいない。だが、その言葉から片鱗は感じ取れる。特大の本塁打を量産する同期・佐藤輝が大活躍していようが「自分の目標は新人王です」と言い切るすがすがしさ。ブレない心の強さにレッドスターと似たにおいを感じている。

 交流戦が終わり、18日の巨人戦(甲子園)からリーグ戦が再開する。パの猛者との死闘でバージョンアップした中野が、宿敵に牙をむく姿が楽しみでならない。

 ☆ようじ・ひでき 1973年8月6日生まれ。神戸市出身。関西学院大卒。98年から「デイリースポーツ」で巨人、阪神などプロ野球担当記者として活躍。2013年10月独立。プロ野球だけではなくスポーツ全般、格闘技、芸能とジャンルにとらわれぬフィールドに人脈を持つ。

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