阪神は22日の巨人戦(東京ドーム)に3―8で敗戦。今季初の東京ドーム3連戦を勝ち越すことはかなわず、2位・巨人とのゲーム差は2に縮まった。ここまで3試合に登板し防御率1・80と抜群の安定感を誇っていた先発・秋山が、2回までに6点を失うまさかの大誤算。だが、壊れかけたゲームを一時的にではあるが引き締め、逆転への機運を高めたのは後続のマウンドを死守した「負けパターン」男たちの奮投だ。〝令和のSHE〟再結成がかなえば、矢野阪神の16年ぶりVは一層現実味を帯びてくることになりそうだ。

 秋山の降板を受け、4回からマウンドに上がった小野泰己投手(26)は150キロ台の直球を軸にした投球で坂本、岡本らをねじ伏せ2回無安打3三振無失点。6回のマウンドを任された馬場皐輔投手(25)も、二死一、三塁のピンチを背負いながら、最後は岡本を空振り三振に切って取り、1イニングを無失点で切り抜けた。

 打線はその間に佐藤輝の適時打、北條の1号2ランなどで3点を奪取し、一時は3―6の3点差にまでスコアを縮めることに成功。小野と馬場の奮投が敗戦ムードに沈む虎ベンチを力強く鼓舞した格好だ。

 阪神が最後にセ・リーグを制覇した2005年シーズンの最大のヒーローは、ジェフ・ウィリアムス(現駐米スカウト)藤川球児(現阪神スペシャルアシスタント)、久保田智之(現二軍投手コーチ)の3人からなる最強のリリーフユニット「JFK」。だが、この年の阪神ブルペンにはもう一組〝裏番長〟的なリリーフユニットが存在していた。桟原将司、橋本健太郎、江草仁貴の3人からなる「SHE」だ。

 ビハインドの場面を主戦場としたSHEの3人は、05年に3投手合計でシーズン176イニングに登板し、防御率2・75と優秀な成績をマーク。相手打線の追撃を再三食い止め、チームの逆転勝利、追いついてのドロー決着を何度も演出した。

 登板過多になりがちだった当時のJFKの3人を何度となくカバーし、負担を減らしてくれたSHEはまさに05年シーズンの影のヒーロー。3人の頭文字をとり、リスペクトを込め「SHE」と命名したのも、絶対的セットアッパーだったウィリアムスだ。

 この日の試合、馬場の後を受け7、8回のマウンドを任されたエドワーズと桑原は、香月と梶谷にソロアーチをそれぞれ浴び2失点。リードを5点に広げられ、反撃ムードは一気にしぼむ形となった。シーズンは残り121試合。〝令和のSHE〟結成に成功すれば、阪神の16年ぶりVはますます現実味を帯びてくる。

 ここまで8試合に登板し、無失点投球を続ける小林慶祐投手(28)、ドラ8ルーキーながらオープン戦で結果を残し開幕一軍切符をもぎ取った石井大智投手(23=現在は二軍調整中)らの奮起にも期待したい。