甲子園初アーチの阪神ドラ1・佐藤輝に“松中の面影” 見事な左中間弾に令和の3冠王へ期待

2021年03月12日 11時30分

10日の広島戦で本塁打を放った佐藤輝

【楊枝秀基のワッショイ!スポーツ見聞録】左中間へ放物線を描いた弾道に3冠王の面影をみた。10日の広島とのオープン戦で、阪神のドラフト1位・佐藤輝明内野手(21=近大)が甲子園初アーチを記録。左打席から繰り出された豪快な打球に過去の記憶が呼び覚まされた。

 2005年の交流戦だった。当時はホーム、ビジターで計6試合の対戦。阪神がソフトバンクに対し敵地で2勝1敗と勝ち越し、迎えた本拠地での3連戦だった。

 5月31日の第1戦、打撃練習直後に当時のソフトバンク4番・松中信彦が発した言葉が今でも印象に残っている。

「いったと思っても、高い打球だとあの辺(右翼上空を指さし)で打球が止まりますもんね。甲子園の浜風とはケンカすべきじゃないですね。ポール際だけは(打球が)失速しませんけど、基本的には逆らわずですね」

 当時の松中は全盛期だった。04年に打率3割5分8厘、44本塁打、120打点で史上7人目の3冠王を獲得。05年もキャリアハイの46本塁打を記録した。気力、体力、技術全てに充実していた強打者でも、浜風を利用する方が得策と判断したわけだ。

 松中は有言実行した。1戦目こそノーアーチだったが、6月1日の第2戦では3回に左腕エース・井川慶から左中間へ2ラン。浜風を味方につけた見事なアーチだった。

 続く2日の第3戦では福原忍(現投手コーチ)から3回に右翼ポール際、上段に飛び込む2ランを見舞った。松中の活躍もありソフトバンクは甲子園で阪神に3連勝した。

 松中の打撃は甲子園での左の強打者のお手本のようだった。10日の佐藤輝のアーチは、それをほうふつとさせると表現しても過言ではないだろう。

 まだまだ気は早い。それでも期待してしまう。平成では1人しか生まれなかった3冠王。令和の時代にトリプルクラウンは誕生するのか。注目の中、結果を出し続ける佐藤輝への期待は膨らむばかりだ。

 ☆ようじ・ひでき 1973年8月6日生まれ。神戸市出身。関西学院大卒。98年から「デイリースポーツ」で巨人、阪神などプロ野球担当記者として活躍。2013年10月独立。プロ野球だけではなくスポーツ全般、格闘技、芸能とジャンルにとらわれぬフィールドに人脈を持つ。

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