1日のDeNA―阪神戦(横浜)の試合終了後、今季限りで現役を引退する阪神・藤川球児投手のセレモニーが行われた。

 野球ファンにはすっかりおなじみの藤川の登場曲「every little thing every precious thing」が球場内に流れる中、火の玉守護神は三塁ベンチから場内を一周。同球場今季最多となる2万7850人の阪神ファン、DeNAファン双方から満場の拍手を浴びた。

 一塁ベンチ付近では元チームメートのDeNA・大和内野手から出迎えられ抱擁。大和はこの日、自身が第1打席に入る際に「every little thing every precious thing」をサプライズで使用。偉大な守護神への敬意を曲に乗せて届けた。

 関東最後での試合を終えた藤川は「たくさんのお客さんの前でこういうことをしてもらえて感謝です」。大和とのやりとりについて問われると、「プロ野球選手である以上、試合中こそ真剣に戦いますが、ユニホームを脱げば12球団の選手たちは皆すべて仲間。そういう姿をファンの前で見せられたのは価値があると思う」。

 横浜スタジアムは、藤川が一軍初出場(2000年3月31日)を果たした思い出の地。
「谷繁(元信)さんと対戦して三振をとって、翌日の試合では(ロバート)ローズさんにホームランを打たれて『プロのバッターってすごいな』と思った。足がフワフワしていた記憶がある」
 すべての野球ファンに愛され、畏怖された火の玉右腕。思い出の地との別れを惜しんだ。