ヤクルト・坂口 プロ18年目の並々ならぬ決意

2020年03月27日 16時30分

練習中に笑顔を見せる坂口

【楊枝秀基のワッショイ!スポーツ見聞録】前しか見ていない。ヤクルト・坂口智隆外野手(35)の言葉に並々ならぬ覚悟を感じた。

「このオフはプロに入ってから初めて、一つのことだけに集中して取り組んだ。とにかく強くスイングするということだけ」

 この言葉の示す意味は深い。昨季は開幕3戦目で左手親指に死球を受け骨折離脱。完治せぬまま1か月半後に復帰するも、本来の打撃には程遠かった。結果的に22試合で8安打、打率1割2分5厘。シーズンを棒に振る悔しさを嫌というほど思い知った。

 昨年5月中旬に戦列復帰した際には、状態が十分ではなかった。骨折箇所が完治しておらず、患部にたまった水を抜きながらプレーを続けた。ファームでは結果も残した。敵に症状を悟られないよう戦列復帰も果たした。だが、一軍は甘くなかった。

 その経験を踏まえ、昨年9月下旬にイースタン・リーグ全日程を終えると、患部の完全治癒を優先させた。「調整を任せてもらえたので、しっかり固定するところからスタートし直して、治すことに専念しました」と地盤を固めた。

「そこからはいかに強くスイングするか。本当にそれだけに専念した。現状としては、フリー打撃をする分にはまったく問題ない」と不安はない。

 2018年にはキャリアハイの打率3割1分7厘、出塁率4割6厘。オフには3年契約を結んだ。満を持して迎えた19年にアクシデントに見舞われた。

 それでも「すべて自分の責任。死球を避けられなかったことも、何とかしてやろうと復帰して結果を残せなかったこともそう。すべて自分が招いたことなんです」と愚痴をこぼすことはない。

 今季でプロ18年目、36歳を迎える。11年に最多安打1度、08~11年に4度のゴールデン・グラブと勲章は数多く手にしている。それでもまだ満足などしていない。貪欲なベテランの存在は、高津ヤクルト上位浮上へのカギとなるに違いない。

 ☆ようじ・ひでき 1973年8月6日生まれ。神戸市出身。関西学院大卒。98年から「デイリースポーツ」で巨人、阪神などプロ野球担当記者として活躍。2013年10月独立。プロ野球だけではなくスポーツ全般、格闘技、芸能とジャンルにとらわれぬフィールドに人脈を持つ。