広島・佐々岡監督に激エール 元ヘッドの本紙専属評論家・大下剛史氏「長い目で見ちょるけん!!」

2020年01月08日 16時30分

1991年の春季キャンプで佐々岡(左)にバントを教える大下ヘッドコーチ

 赤ヘルのV奪回なるか――。OBでもある本紙専属評論家の大下剛史氏が、佐々岡新監督率いる今季のカープを占った。メジャー挑戦を表明していた菊池涼の残留に、即戦力の呼び声も高いドラフト1位新人・森下暢仁投手(22=明大)の加入と明るい材料もあるが、鬼軍曹の見立ては決して楽観的なものではない。ただ、かつてのヘッドコーチがエースに送ったエールはいつになく熱いものだった。

 連続リーグ優勝が3年で途切れ、チームが過渡期に差し掛かったタイミングで佐々岡新監督が誕生した。ファンは「V奪回」を望んでいるだろうが、そう簡単にいくものではない。しばらくは黙って見守ってあげてほしいというのが正直なところだ。

 実際にクリアしなければならない課題は山ほどある。佐々岡監督にとって専門分野でもある投手陣の立て直しもしかり。過去の実績で言うなら野村、岡田、薮田もシーズン2桁勝利の経験者だが「計算できる投手」となれば大瀬良とジョンソンの2人しかいない。ドラフト1位の森下は楽しみな存在であるが、新人に過度な期待を寄せるのは酷というものだ。

 救援陣にしても守護神としてリーグ3連覇を支えた中崎をはじめ、一岡やフランスアらには“勤続疲労”が見られる。選手個々で万全の準備をしていることだろうが、やってみなければ分からない面があるのも事実だ。

 野手に目を転じても大きな難題がある。正遊撃手をどうするかだ。昨年は不動のレギュラーだった田中広が打撃不振から6月20日のロッテ戦でスタメンを外され、連続フルイニング出場が635試合でストップ。翌日の試合を欠場して連続試合出場記録も止まった。代わって台頭したのが高卒新人の小園で、球宴明けには遊撃に定着した。

 現時点で佐々岡監督はどちらを遊撃に据えるか明言していない。ただ、個人的には小園を遊撃で使うべきだと思う。1975年に球団初のリーグ優勝を成し遂げたカープがその後に古葉監督の下で黄金期を築いたのは、チームの将来を考えて大下を外し、高橋慶彦を遊撃手として実戦で育てたからだった。

 田中広も老け込む年齢ではないし、捲土重来を期していることだろう。何より幹部候補生でもある。人情派の佐々岡監督にとっては難しい決断になるだろうが、チームのことを最優先に考え、時に非情になることも指揮官の務めだ。

 私がヘッドコーチをしていた90年、入団1年目の佐々岡は先発、抑えにフル回転でチームの危機を何度も救ってくれた。91年には13完投で17勝を挙げ、チームをリーグ優勝に導いた。心身ともにタフで、苦境をものともしないのが佐々岡真司という男だ。私も含め、何とか助けてあげたいと周りに思わせる人柄で、選手たちも、その人となりを理解している。少しばかり不安をあおるような内容になってしまったが、佐々岡監督には持ち前の天真らんまんさを発揮して伸び伸びとやってもらいたい。

(本紙専属評論家)