菅野の移籍断念は世界最大の新型コロナ感染国である米国の実情を考えると、賢明な選択だったと言えそうだ。ある米西海岸のメディア関係者は「今は各球団のオーナーがコロナを理由に資金を出し渋っている。FA市場の目玉であるバウアー(レッズからFA)でさえ希望額に程遠い提示しか受けていないはず。今年10月で32歳になる菅野に、28歳シーズンに渡った菊池(雄星)と同じ契約(4年5600万ドル)は出ないし、出たとしても満額は受け取れない。巨人残留が正解」と解説する。

 一部米報道によると、巨人が菅野に提示した条件は年俸10億円の4年契約で、今後3年間はオプトアウト(契約破棄)条項が盛り込まれているとされている。仮に菅野側がメジャー球団と4年4000万ドル(約41億6000万円)程度の契約を結んだ場合、昨季のように本来の162試合が60試合まで削減されて年俸の減額幅が一律63%となる状況が継続すれば、受け取れる年俸はわずか37%となってしまう。

 年俸1000万ドル(約10億4000万円)と仮定すると、その37%は370万ドル(約3億8500万円)。昨年巨人から受け取っていた年俸6億5000万円の約60%にダウンしてしまう計算になる。

 これでは新型コロナ禍のリスクを冒してメジャーに挑戦するうまみもなく、試合数の大幅減は今年10月で32歳になる菅野にとってプレーヤーとしての死活問題ともなりかねない。あらゆるリスクを総合的に勘案して、最終的には危険を冒さない道を選択するしかなかったのが実情だったと推測される。 =金額は推定=