第104回全国高校野球選手権大会(8月6日開幕=甲子園球場)はまたも新型コロナウイルスとの戦いになりそうだ。

 各地で県大会が繰り広げられる中、主催の日本高野連などは感染拡大予防のガイドラインを作成。今回は出場チーム内で集団感染が出た場合、試合日程を変更することで対応し、なるべく出場辞退校が出ないよう模索していく方針だ。選手のPCR検査は甲子園入りする前と1試合目終了後の2度行い、甲子園練習は行われない。

 消毒の徹底や動線管理などもこれまでの対策を継続することになるが、一方で今開催から入場制限を設けず、より本来に近い形式に戻る。8月6日の開会式は昨年同様に全49代表校が参加して行進。春の選抜大会が開幕日に出場する6校のみがマスク姿で参加したのに対し、今回はマスク着用もない。また、開会式に先駆けて8月3日に大阪市内で行われる組み合わせ抽選会もオンラインにせず、1チーム22人まで会場への参加が認められた。

 ここで危惧されるのが、チームの長期滞在によるリスクの拡大だ。選抜大会のように抽選会はオンライン、開会式も6校のみの実施なら試合日めがけて甲子園入りすればよかったが、通常の抽選会、開会式となれば多くのチームが抽選会前日の8月2日に大阪入りし、試合に敗れるまで長期滞在することになってしまう。

 ある高校野球関係者は「なぜ主催者が開会式にこだわるのか分からない。待機場所は大混雑することになるし、試合より開会式を重んじているように見える。抽選会と開会式にチーム参加を認めることで、初戦が遅い学校はずっと残らないといけなくなる。宮崎商のこともあるのに…」と不安を募らせる。

 昨夏、宮崎商は集団感染により、智弁和歌山との初戦を前に出場辞退を余儀なくされた。8月10日の開会式に参加後、雨天順延が重なって大会第6日の14日の初戦が18日まで延期。そんな中でのよもやの事態だった。もちろん因果関係は分からない。しかし「実際に一試合もできずに辞退するケースがあったんだから、なるべく長期滞在にならないよう、開会式は選抜方式にするべきだったのではないか。試合ができなかったら意味がない」(同)。

 第7波と見られる新型コロナウイルスは感染力を強め、感染者数の過去最多を塗り替える急拡大を続けている。特に大阪、兵庫の拡大は顕著だけに細心の注意と配慮が必要なはずだが…。無事に選手がプレーできることを願うばかりだ。