伝統の一戦が悲鳴に包まれた。30日に東京ドームで行われた巨人―阪神3回戦の2回の守備で、阪神・西岡剛内野手(29)が背走キャッチを試み、前進してきた福留孝介外野手(36)とモロに激突。その勢いで体は宙に浮き、後頭部から地面に激しく叩き付けられた。救急車がグラウンドに乗り入れる緊急事態。西岡は衝撃で意識を失ったが、両軍ファンからの熱い「西岡コール」で意識が戻ったことを深夜の病室からフェイスブックで明かし、「生きてて良かった!」と心情を漏らした。
衝撃の光景に4万5666人の悲鳴がこだました。2回裏の守備中、二死一、二塁の場面で二塁後方に上がった飛球を追った二塁・西岡と右翼・福留が激突。西岡の体は宙に浮き、後頭部からグラウンドに激しく打ちつけられた。プロレスのバックドロップを食らった格好で、受け身を一切取れておらず、誰が見ても「ヤバイ!」状態。当然のように西岡は、あおむけのまま動けなくなった。
すぐさま三塁側ベンチから和田監督をはじめ、首脳陣、トレーナーが飛び出し、鳥谷らナインまでもが駆け寄った。巨人のチームドクターが現状確認を行い、体を動かさないように指示された。
東京ドーム始まって以来のアクシデントにも、両軍関係者と球場側の対応は冷静で迅速だった。ここで生かされたのは、2010年4月2日にマツダスタジアムで倒れ、後に命を落とした元巨人の木村拓也コーチ(享年37)の件(広島戦前に倒れ救急搬送。重度のくも膜下出血と診断され、5日後に他界)だった。西岡を搬送する際に使用されたストレッチャーは、当時の教訓を生かし、頭部と首を固定する特殊なもの。「木村拓也さんの一件があった直後に巨人側の要請を受けて準備していたものです」(東京ドーム担当者)
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新人工芝のクッション効果もあったが、最も大きかったのが、両軍ファンから分け隔てなく送られた「頑張れ、頑張れ、西岡!」の声援だった。都内の病院で検査を受け、「鼻骨骨折、左肩鎖関節脱臼、左胸打撲。脳振とうの症状もある。安静にして様子を見るため入院します」と球団発表された西岡は、同日深夜になってフェイスブックを更新した。
「生きてて良かったです!」としながら「球場に倒れている間はほんとに意識なく、意識が戻ったのは、阪神タイガースファン、読売ジャイアンツファンの、西岡コールで意識がほんとに戻りました! 感謝の言葉しかありません! 自分の名前が球場に響いたとき涙が止まりませんでした! 目覚めさせてくれたファンのみなさん。心から感謝です」などとつづり、ファンの声援のおかげで生還できた喜びを爆発させた。
スポーツに事故やアクシデントはつきものとはいえ、不幸にも命を落とすこともある。プロレスラーの三沢光晴さん(享年46)が2009年6月13日、広島県立総合体育館グリーンアリーナで行われたGHCタッグ選手権で、バックドロップを受けた際に頭部を強打。意識不明、心肺停止状態となって救急搬送され、同日死亡したのは記憶に新しいところだ。他にも競馬の落馬事故で亡くなることもある。
真剣勝負だからこそ、ファンは感動するのだが、常に危険と隣り合わせなことも頭に入れておくべきだろう。












