【今週は三枝裕介氏】個別銘柄の適正株価や目標株価の判断は非常に難しい。証券会社の調査部門に属するアナリストは、企業の財務データやマクロ経済の動向、競合他社のリサーチ、時には経営陣に直接取材し、目標株価や将来の見通しをレポートにまとめる。高い目標株価がついた銘柄は、そのレポートが材料となり、株価が短期的に急上昇することもめずらしくない。なお、一般的に目標株価は6か月~12か月後を想定している。

 もちろん、12か月後に必ず目標株価を達成するわけではない。なかには、今年6月に上場来高値を記録したキオクシアホールディングスのように、急落に見舞われ、その後、各社から目標株価引き下げのレポートが乱発された銘柄もある。

 それでも、企業分析に関しては個人投資家よりも有利な立場にあり、彼らのレポートは投資の参考になることは間違いない。今週は、現状の株価から大きく乖離した高い目標株価がついている銘柄をピックアップした。

 東証プライムのニチコン(6996=2194円)は、コンデンサーの大手。足元の業績は絶好調で、2027年3月期は営業利益で前年比34・8%増を見込んでいる。コンデンサー事業では、AI(人工知能)サーバーおよびデータセンター向けが好調に推移し、業績に寄与している。

 10月19日には、外資系のゴールドマン・サックス証券が同社の投資判断を「中立」から「買い」に格上げし、目標株価を従来の4100円から4200円に引き上げた。直近の株価水準からは約2倍上に目標株価が設定されている。

 東証プライムのキューデンホールディングス(642A=2029円)は、九州電力の株式移転により、10月1日に上場したばかりの純粋持株会社。電力事業や再生可能エネルギー事業、海外事業などを展開している。

 同社に対しては、10月9日に国内最大手の野村証券が新規に「Buy」でカバレッジを開始、「原発4基体制による価格競争力の高さは健在」とし、目標株価を3200円に設定している。

 最後は、東証グロースからククレブ・アドバイザーズ(276A=4595円)。同社は、倉庫や工場といった企業不動産の取り扱いに特化した新しいタイプの不動産会社で、上場は2024年11月28日。

 10月15日に発表した2026年8月通期決算では、営業利益が前年比86・7%増で着地。続く2027年8月期も同92・2%増を計画するなど足元の業績は絶好調だ。

 この決算発表を受けて、10月20日にSBI証券が投資判断を「買い」で継続し、目標株価を従来の1万3500円から1万7300円に引き上げたばかり。27日の終値は4595円と目標株価とは3倍以上の乖離があり、上値余地は大きそうだ。(株価は27日終値、次回は天野秀夫氏です)