中国の国営・共産党系メディアが、ドラマ「VIVANT」(TBS系)を相次いで猛批判している。10月中旬から中国のSNSで同ドラマへの批判の声が上がっていたが、25、26日には主要メディアも相次いで厳しい論評を掲載した。ヒートアップしている背景は――。
中国国営の中国中央テレビ(CCTV)は25日、公式SNSで「意図的に中国を中傷! 旧日本軍の拷問を中国人になすりつける日本ドラマ『VIVANT』は、いったいどれほど荒唐無稽なのか?」というタイトルの論評を掲載した。
論評では「中国の情報機関員が日本の情報機関員に対し、指を切断したり、腹部を刺し貫いたりする場面も描かれている。こうした手法は、かつて中国を侵略した旧日本軍が、中国の抗日活動家に対して用いた拷問と酷似している。ドラマは善悪を逆転させ、旧日本軍による残虐行為を現代の中国人のイメージになすりつけることで、意図的に対立を生み出し、敵意をあおっている」と記している。
また、中国共産党機関紙「人民日報」傘下の「環球時報」は26日、「日本ドラマが歴史を歪曲し、荒唐無稽な中国中傷 中国ネットユーザーが猛批判」というタイトルの記事を掲載した。
同紙は、第1シーズンでは架空の国家や組織を登場させていたが、第2シーズンでは実在する「中国」という国名を使用し、中国の秘密情報組織を日本人主人公の敵として描いている点を問題視。「旧日本軍が中国の抗日活動家に対して用いた拷問と酷似しているにもかかわらず、その残虐行為を現代の中国人になすりつけている」と批判した。
中国共産党北京市委員会の機関紙「北京日報」も25日、同様の論評を掲載。「かつての加害者が善悪を逆転させ、自らの罪を被害者になすりつけている」と痛烈に非難した。さらに、単なるドラマ批評にとどまらず、日本の右翼思想や軍国主義への警戒と結び付けて批判している。
中国の対日政策と世論工作の観点から分析すると、一連の「VIVANT」批判には、単なるドラマへの抗議を超えた政治的な意図があるのかもしれない。
というのも、高市早苗首相は14日の衆院予算委員会で、録画している「VIVANT」について「年末とお正月に何とかまとめ見できたらいいなと思って」と発言していた。
中国事情通は「中国のSNSでは『高市首相が名指ししたドラマで、中国が悪役になっている』と騒がれました。そのため、高市政権への政治的なけん制があると考えられます。中国側はドラマの描写を日本の軍備拡張や歴史認識の問題に結び付け、単なる娯楽作品を日中間の政治問題に仕立て上げています。11月のAPEC首脳会議を控えた時期でもあり、日本への世論上の圧力として機能する可能性もあります」と指摘する。
このまま国営・共産党系メディアによる批判にとどまるのか、それとも中国外交部が日本政府への抗議や、説明要求に踏み込むのか。その動向によって、中国側がこの問題をどこまで政治化しようとしているのかが、より明確になりそうだ。












