GMOインターネットグループがハッカーから身代金を要求されている問題で27日、懸念されていた〝テロ〟が起きた。身代金の支払いを拒否されたことにハッカー側は「被害者第1号」として顧客の個人情報をネット上に公開し、今後も要求に応じなければ毎日正午に情報を公開すると予告。GMOの熊谷正寿会長兼社長の対応に注目が集まっている。
GMOが提供する「お名前.comデスクトップクラウド」が不正アクセスを受け、顧客情報がハッカー側に流出。当初、5000万ドル(約79億円)の身代金を要求していたが、27日正午までに100万ドル(約1億5800万円)に変更。熊谷氏が「卑劣を極める脅迫」と拒否すると、ハッカー側はこの日、「GMOは交渉に一切応じていない。したがって、予告通り、個人情報を公開する」と顧客Aさん(実際は実名)のPCを解析したとして、名前や連絡先、家族構成、会社名、登記簿画像から趣味、閲覧していたサイトなどを公開した。
「流出したサーバー数は約2万7000で、少なくとも2万人のPC情報を犯人側は得ているとみられます。氏名やメールアドレスが流出したケースとは次元が違う。顧客が使用していたPCそのものが盗まれたようなもので、重大なプライバシー情報や会社の機密情報などがダダ漏れしている。犯人側は解析が進み次第、順次公開するとして、数年かかると予告しているが、AIを使った解析は1台につき1分もかからないでしょう。公開も毎日1人とは言っておらず、数十人、数百人の個人情報を一気にぶちまけられる可能性もある」(IT関係者)
GMOはこの日改めて「攻撃者からの要求には応じません。応じても取得された情報の削除や不正利用の防止が保証されるものではない。犯罪者や犯罪組織への資金提供につながり、さらなるサイバー攻撃を助長するとともに新たな被害を生み出すおそれがある」と警察当局と連動し、要求には屈しない姿勢を見せた。
熊谷氏の毅然とした対応に「ハッカーによる恐喝が成功すれば、成功体験を相手に与えてしまう。連鎖的に被害が発生し、日本を転覆させる恐れがある」(実業家の三崎優太氏)、「企業の責任を問うことと、犯罪者やテロリストの要求に応じろと迫ることは別の話」(起業家の溝口勇児氏)と経営者仲間から理解を示す声が上がる一方、情報が公開されるかもしれないという恐怖におびえる顧客からは熊谷氏に疑念の声も出ている。
GMOは顧客に一律5000円のお見舞金とFXなどで不正取引による損失が出た場合に全額補償を約束していたが、この日、流出した情報の区分に応じて、新たなお見舞金の額を設定。氏名・連絡先は1万円、取引口座のID・パスワードは1万5000円、プライバシー性の高い情報は2万5000円で、複数の区分の情報が公開された場合、合計額を算出し、上限300万円まで支払うほか、ハッカーにつながる有力情報を提供した場合に総額100万ドルの懸賞金制度も発表した。
「過去の同様の案件では犯人側の要求に応じない姿勢は見せつつも秘密裏に交渉を進め、事態を収拾したケースもある。ところが、熊谷氏は自社のセキュリティーの脆弱性に対する責任を棚に上げ、『官民連携で日本を守ろう』と政府に助けを求め、ブログで釈明を繰り返し、身代金と同額の懸賞金まで出して、被害者の心情を逆なでしている。スタンドプレーが過ぎます」(前出の関係者)
ハッカー側は「GMOが要求を受け入れれば、永久に活動停止する」とも表明している。犠牲者が毎日、出かねない状況で、GMOや警察当局はハッカーの暴挙を止めることができるのか。













